映画人九条の会Mail No.15

2006.07.06発行
映画人九条の会事務局

目次

九条の会、5,174に!─6・10九条の会全国交流集会に参加

 九条の会は発足二周年になる6月10日、東京・千駄ヶ谷の日本青年館で、初の九条の会全国交流集会を行いました。私たち映画人九条の会はこの運営委員会に参加し、全国交流集会の成功のために力を尽くしました。

 全国交流集会には、全国47都道府県から約800の「会」、1,550人が参加し、分散会での発言は約300人に達しました。またこの日現在で「会」の数は、5,174になりました。

 映画人九条の会からは代表5名が参加し、各分散会で発言しました。また第8分散会では司会や受付、記録などの役割を担いました。

 各分散会では終了前に、この日のよびかけ人会議で決められた「九条の会からの訴え」が紹介されました。

【「九条の会」からの訴え】

  1. 「九条の会」アピールに賛同し、思想・信条・政治的立場などの違いを超えた、本当に広範な人々が参加する「会」をつくり、過半数世論を結集しましょう。
  2. 大小無数の学習会を開き、日本国憲法9条のすぐれた意義と改憲案の危険な内容を学び、多くの人びとの中に広げましょう。
    「九条の会」としては全国数カ所で「九条の会憲法セミナー」を開催します。
  3. ポスター、署名、意見広告等によるアピール、マスコミ等への手紙・電話・メール運動、地元の政治家や影響力をもつ人びとへの協力要請など、9条改憲反対のひとりひとりの意思をさまざまな形で表明しながら、「会」の仲間を増やしましょう。
  4. “9条守れ”の世論を大きく広げるため、「会」を全国の市区町村・丁目・学区、職場・学園に網の目のようにつくり、相互のネットワークを強めて情報や経験を交流し、協力しあいましょう。その成果を来年の第2回全国交流集会にもちよりましょう。

──この訴えに、私たち映画人九条の会も応えましょう。なお「九条の会」事務局では、全国交流集会の報告集を発行する予定です。

映画人九条の会、7月19日(水)に学習集会!「改憲」はどこまで来たか?

 共謀罪、教育基本法「改正」案、国民投票法案、米軍再編のための3兆円拠出──。小泉政権の終幕に来て、「戦争する国」づくりに向けた「改憲」の策動が次々に襲いかかってきました。果たして「改憲」の津波はどこまで押し寄せてきているのか。「改憲」勢力の狙いは何か。私たちは今、どういう運動をしなければいけないのか。

 映画人九条の会は、マスメディアとジャーナリズムの研究者である桂敬一さん(立正大学講師)と、MIC議長の美浦克教さんを講師に招いて、今、みんなが知りたいことを知り合う学習集会を計画しました。ぜひご参加ください!

★映画人九条の会7・19学習集会/「改憲」はどこまで来たか?
日時
2006年7月19日(水)18:45〜20:40
場所
東京・文京区民センター2A
参加費
500円
講師
桂敬一(立正大学講師)+美浦克教(MIC議長)

秋には「蟻の兵隊」上映会&池谷監督・山田朗対談!

 第二次世界大戦の終結後、中国山西省に駐屯していた北支方面軍第一軍の将兵1万人は、武装解除を受けることなく、敵であった国民党の司令官に引き渡されました。世界の戦争史上、類をみないこの売軍行為は、戦犯逃れを目論む日本軍司令官と、共産軍の圧力を恐れた国民党司令官の密約によって引き起こされた一大スキャンダルでした。残留を余儀なくされた2600名余りの将兵は、戦後なお4年間も共産軍と戦い、550名が戦死するなど多くの悲劇を生みました。

 映画「蟻の兵隊」は、北支方面軍第一軍の日本兵だった奥村和一さんが執念で戦争の軌跡をたどり、驚くべき残留の真相と戦争の実態を暴いた、優れたドキュメンタリーです。香港国際映画祭では、「人道に関する優秀映画賞」を受賞しました。

 映画人九条の会は来る9月15日(金)、「蟻の兵隊」上映+池谷薫監督と山田朗さん(明治大学教授/「護憲派のための軍事入門」著者)の対談を計画しました。ぜひご参加ください。

「蟻の兵隊」上映会&池谷監督・山田朗対談
日時
2006年9月15日(金)18:45〜21:00
場所
東京・文京シビック小ホール
参加費
1200円(前売券1000円)

5月26日、映画人九条の会が国民投票法案に反対する声明を発表!

 自民・公明両党が「国民投票法案」を国会に提出した5月26日、映画人九条の会の運営委員会は以下のような「自民・公明両党の国民投票法案に反対する映画人九条の会声明」を発表し、各方面に送付しました。

 「国民投票法案」は世論の反対に押されて強行できず、継続審議になりましたが、秋の臨時国会以降が新たな山場になります。

 「国民投票法案」とは名ばかりの、改憲のための手続きだけを定めようとする改憲手続き法案を、世論の力で何としても廃案に追い込みましょう。

【お薦め映画紹介】「トンマッコルへようこそ」

今井一雄 (映画人九条の会会員/元MIC議長)

 今年10月に、『トンマッコルへようこそ』(2005年、韓国映画、パク・クァンヒョン監督)という映画が上映されます。

 この映画は昨年韓国で6人に1人が見たという大ヒット作です。

 1950年代の朝鮮戦争時、敵同士の兵士たちが偶然にもトンマッコルという村で鉢合わせし、それぞれの立場を超えて心の交流が生まれるという感動のヒューマンドラマです。

 韓国でこれほどの人たちが見たというのは、舞台が朝鮮戦争、主役が韓国・アメリカ・北朝鮮軍人の組み合わせで、なおかつこの三者が村人の感化でプラス方向にお互いを肯定するように作られているからだと思います。

 6ヵ国間でも北朝鮮を巡る情勢は緊迫していますが、韓国の対応は他の4ヵ国とは少し異なります。同じ民族だからでしょうし、南北統一が視野に入る時代になったからでもあるでしょう。

 そういうことから考えれば、韓国人の北朝鮮との過去の清算と歩み寄りの世論、感情を暗示する映画でもありますから、全国民的に受け入れられたのでしょう。

 『シュリ』『JSA』『ブラザーフッド』『シルミド』『二重スパイ』といった一連のものとはかなり異なっています。

 映像表現も、ファンタジックでユーモラス、しかし現実はシビアに描かれていてあきさせません。特に子供の存在は大きいものがありますし、戦闘場面などは戦争を知らない日本では描けない迫力があり、その残虐さ、無意味さがよく伝わってきます。

 またさりげなく現代を皮肉った場面もあります。人民軍のリーダーがトンマッコルの村長にあなたは優秀だ、大きな声も出さず村を統率している、秘訣は何だと聞きますと、「充分食わせている」と答えるのです。あまり必然性のないシーンなのですが、韓国は格差、貧富の差が拡大しています。政治を皮肉っているのです。それは日本にもそのまま当てはまる皮肉・批判です。こういう見逃せないさりげない場面が多くあります。

 この映画を、単純に戦争映画とか反戦映画というふうに見なくても、極限状況に置かれた人間が人間らしさを取り戻す営為が、美しい自然と人間との関係で見事に描かれています。

 一見に値します。ぜひご覧になってください。

【情報】

マスコミ関連九条連絡会が7月14日に、「私たちの巴里祭/シャンソンとワインと九条のつどい」
──お話は姜尚中さん、歌は佐藤真子さん
 7月14日は巴里祭。フランス革命の口火を切った日です。民衆自身の手で自由をかちとった勝利の日として祝われています。この7月14日にマスコミ関連九条連絡会(映画人九条の会も参加)は、「私たちの巴里祭/シャンソンとワインと九条のつどい」を行います。
 お話は、今年3月パリでフランスの若者たちの闘いの傍にいた姜尚中(東京大学教授)さんの「パリから九条を見る」。歌は佐藤真子さんのシャンソン。そしてお酒はワイン。
 日時は、7月14日(金)18:30〜20:30。
 場所は、文京区民センター3A会議室。
 参加費は、2000円(ワイン、ビール、軽食含む)。
 問合せは、三枝さん(090-8580-6307)まで。
 前売券もありますが、当日も受け付けます。

映画人九条の会事務局
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