映画人九条の会Mail No.78

2019.01.18発行
映画人九条の会事務局

目次

映画人九条の会の皆さま、あけましておめでとうございます。
9条改憲発議を阻止し、
安倍政権を退陣に追い込もう!

 映画人九条の会の皆さま、映画人、映画関係者、映画ファンの皆さま、あけましておめでとうございます。
安倍政権は国民と野党の闘いによって昨年の臨時国会で自民党改憲案を提示できず、安倍改憲のシナリオは大きく狂いました。これは極めて重要な成果でした。
 しかし、安倍政権は改憲を諦めてはいません。安倍首相は後援会新年会のあいさつで「憲法改正を含め、新たな国づくりに挑戦する1年にしていきたい」と語り、年頭記者会見でも「国会での改憲議論は国会議員の責務」などと語って、改憲に異常な執念を見せています。
 また自民党は、全国の小選挙区ごとに「憲法改正推進本部」の設置を進めており、併せて民間団体(日本会議)と連携して全国に「連絡会議」を設立しようとしています。神社本庁も全国の神社等で「改憲賛同署名」を集めています。
 1月28日に開会される通常国会で自民党は、衆参の憲法審査会に改憲案を何としても提示しようとしてくるでしょう。そして通常国会での改憲発議強行を狙い、場合によっては7月の参院選を跨いででも国民投票に持ち込もうとするかもしれません。あるいは野党共闘つぶしのためにダブル選挙に出る可能性も高いと言われています。
 しかし、各世論調査で安倍支持率は下落し、今秋の消費税増税にも反対の声が高まっています。また3月、4月には統一地方選挙があり、4月末、5月頭には天皇の退位と即位があり、6月28日、29日にはG20大阪サミットがあります。そして7月には参院選です。この政治日程の中に、国民の一大議論が必要な改憲の国民投票を入れるのはあまりに無理があり、あまりに拙速であり、あまりにも強権的です。失敗すれば安倍政権は崩壊するでしょう。
 参院選の1人区で野党の改選数は2です。野党が本気の共闘で闘えば、参院選で改憲派を3分の2以下に落とし込むことは十分に可能です。参院選で改憲勢力が3分の2を失えば、改憲発議はできません。通常国会で改憲発議させなければ、安倍9条改憲はつぶせるのです。
 そのためには、市民が「野党は共闘!」の声をさらに大きくすることと、3000万署名の目標達成、5月3日の憲法集会の成功が大きな意味を持ってきます。
 憲法9条に自衛隊を明記すれば9条自体が矛盾をはらみ、9条2項は空文化します。安倍政権は2項を空文化し、海外での武力行使を無制限にできるようにしたいのです。秘密保護法、共謀罪、戦争法に続いて9条が改憲されれば、「戦争する国」づくりは後戻りできないところまで進みます。そうなれば基本的人権や言論表現、報道の自由は大きく規制されるでしょう。私たちが愛する映画も例外ではありません。
 映画人九条の会は9条改憲発議に強く反対します。自民党改憲案が国会に提示されたら、映画人九条の会は「9条改憲発議に反対する映画人アピール」を出すつもりで準備しています。
 映画人九条の会の皆さま、映画人・映画関係者の皆さま、そして映画ファンの皆さま、何としても9条改憲発議を阻止して、安倍政権を退陣に追い込みましょう。

映画人九条の会運営委員一同
ページTOPへもどる

「通販生活」HPの意見広告動画「9条球場」に注目!

 民放連(日本民間放送連盟)は、憲法改正の国民投票に関するテレビ・ラジオのCM量について、自主規制することを拒否していますが、カタログ誌「通販生活」がホームページで1月1日から公開している意見広告動画「9条球場」が話題を集めています。
 「GOKEN」チームの打者の前には、内外野を埋め尽くす「KAIKEN」チームの野手が。打者はあっさりとアウトになり、「国民投票がこんな不公平な試合にならないか心配です」の語りが流れます。皆さま、ぜひご覧ください。

ページTOPへもどる

東京新聞で清水雅彦教授が、
自民党改憲案・自衛隊明記『9条の2』を逐語点検

  東京新聞1月7日朝刊で、清水雅彦・日体大教授(憲法学)が、自民党改憲案の自衛隊明記「9条の2」について逐語点検し、平和主義を骨抜きにする表現だらけだと指摘しています。

【自民党改憲案で追加する条文・第9条の2】
第1項 (1)前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国(2)及び国民の安全を保つために(3)必要な自衛の措置をとることを(1)妨げず(4)そのための実力組織として、法律の定めるところにより、(5)内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
第2項 自衛隊の行動は、(6)法律の定めるところにより(7)国会の承認その他の統制に服する。

【清水教授の逐語解説】
(1)戦力不保持を定めた現行の9条2項を無効化する例外規定。
(2)海外にいる国民も含まれるため、自衛隊を海外派遣しやすくなる。
(3)自民党の資料は「自衛の措置(自衛権)」と説明。集団的自衛権も全面的に行使できると解釈可能。
(4)検討段階であった「必要最小限度」が外れた。自衛隊の活動に歯止めがかからなくなる恐れ。
(5)首相の権限を強化する意図。閣議を踏まえず、首相の判断だけで自衛隊を動かせる。
(6)実力組織の自衛隊を統制するなら憲法に書くべき。国会の過半数で変えられる法律任せは危険。
(7)国会は一例にすぎないように読める。行政組織が統制するなら非常に緩い。国会承認としても事前承認が原則でない。

 また清水教授は、自衛隊を憲法に明記すること自体「自衛隊が公共性を帯び『徴用』がやりやすくなる」とも懸念。有事に国が民間の技術者や運輸業者を動員し、自衛隊や米軍に従うよう命じやすくなる、としています。


ページTOPへもどる

「12・10映画人九条の会14周年の集い
/安倍改憲のつぶし方」報告

takadaken_20181210.png

 安倍政権が改憲案を提示できないまま臨時国会が閉会した2018年12月10日、東京・文京シビックセンターで「映画人九条の会14周年の集い」を開催しました。
 集いには約50名が参加し、高田健さん(九条の会事務局、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会共同代表)が「安倍改憲のつぶし方」と題して記念講演を行いました。
 高田さんは、安倍政権が最大の眼目としていた臨時国会での改憲案の提示に失敗したことを強調。その背景には全国に広がる市民運動と、強行されたとはいえ入管法や水道法など悪法に抗ったそれぞれの運動の成果だと評価しました。
 しかし高田さんは、「安倍政権は改憲をあきらめてはいない」と語り、「通常国会の1月下旬召集、予算案審議、4月統一地方選、4月末と5月頭の天皇代替わり、6月28日29日のG20、7月の参院選と日程的には極めてタイトであり、改憲手続法が定める国民投票運動期間60〜180日の確保は容易ではないが、それだけに7月の参議院選挙前の改憲発議にこだわり、場合によっては参院選を跨いで国民投票に持ち込むことも考えている」と述べました。
 高田さんは、「私たちがなすべきは国民投票での勝利ではない」と指摘しました。なぜなら国民投票は資金力にモノを言わせた大量宣伝が自由にでき、買収も可能なうえ最低投票の縛りもなく、到底民意が反映される仕組みとは言えない危険な制度であるからです。
 さらに高田さんは、「改憲阻止は国民投票ではなく、発議を阻止することだ」と力説し、「3000署名を地道に着実に全国隅々まで広げること、5月3日憲法集会への大結集などによって世論を喚起し、改憲発議が出来ない状況を作り出すことだ」と強調しました。
 そして高田さんは、「『安倍政権の終わりの始まり』を現実のものとするためにも、参院選で野党3分の1以上の獲得が必要だが、それは可能だ」「野党が共闘しても1人区の当選は容易ではないが、市民の闘いで野党を強く結束をさせ、魅力ある『野党共同』+『市民連合』を再構築して、正々堂々と運動を強めていこう」と呼びかけました。

ページTOPへもどる

大軍拡へと暴走する安倍政権、沖縄の民意も無視!

 安倍政権は昨年12月、新たな防衛大綱・新「中期防衛力整備計画」(2019〜23年度、新中期防)で約27.5兆円の大軍拡計画を決定し、来年度防衛予算5兆2574億円(前年度比1.3%増)を閣議決定しました。軍事費は5年連続で過去最高を更新、米政府から兵器を購入する「有償軍事援助(FMS)」も7013億円にまで膨れ上がっています。
 防衛省によると、2基を整備する弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」は、1基約1224億円に上ります。「史上最も高額な兵器システム」最新鋭ステルス戦闘機F35Aは1機約116億円。防衛省はこれを現中期防や新中期防、さらにその先の取得を含め、計147機体制にすることを決めており、維持費総額は約4兆5129億円、機体の購入費と合わせて約6兆2181億円に達する見通しです。
 また、官邸主導で明記された、「いずも」型護衛艦の空母化は、憲法9条に基づいて政府が堅持してきた「専守防衛」の廃棄にほかありません。私たち国民のいのち、暮らしを置き去りにした、米国言いなりの大軍拡計画、米兵器の爆買いを即刻中止させるため、安倍政権には一刻も早く退陣してもらうしかありません。
 沖縄では平和と民主主義、「新基地建設反対」の民意を踏みにじる蛮行が続いています。
 昨年12月の国による名護市辺野古沿岸部への土砂投入開始から1ヶ月が経過しました。安倍首相は年初のNHKの討論番組に出演し、「あそこのサンゴは移している」「絶滅危惧種が砂浜に存在していたが、砂をさらって別の浜に移していく」などと発言しましたが、実際のサンゴ移植は土砂投入とは別区域の7万群体中9群体のみであり、「砂をさらって」別の浜に移す事業は実施していないことが明らかになりました。
 首相のその場しのぎの虚偽発言には呆れるほかありませんが、ファクトチェックを行わずこれを放送し、「コメントする立場にない」と居直り、国民の知る権利を毀損するNHKの姿勢は、もはや報道機関としての体を成しておらず、いっそう深刻です。
 辺野古米軍新基地建設の埋め立ての賛否を問う県民投票は2月24日に投開票が行われる予定ですが、宮古島、石垣、宜野湾、沖縄、うるまの5市では、予算が議会で否決されたことを受けて市長が実施を拒否、もしくは判断を保留しています(自民党が県民投票不参加を指南)。
 しかし、住民の投票する権利を奪うことは、「法の下の平等」を保障する憲法に違反します。玉城デニー知事は「事務を執行しない場合、県民投票条例や地方自治法に違反する」と述べ、地方自治法に基づく「是正の要求」を検討していることを明らかにしています。
 アメリカのホワイトハウスのウェブサイトに寄せられた「辺野古沖の埋め立て中止を求める署名」が、この1ヶ月で20万を超えました。県民投票への全有権者の参加の保障と、県民投票での圧倒的な勝利をめざすたたかいを全力で支援しましょう!

ページTOPへもどる

【お薦め映画紹介】

『あの日のオルガン 』
平沢清一(映画人九条の会運営委員/映画ライター)

 15年戦争末期に空襲から保育園児を守るため、国に先駆けて集団疎開を決行した久保つぎこ原作『君たちは忘れない 疎開保育園物語』)(1982年/映画化に伴い『あの日のオルガン』に改題して新装版で復刻)の実話を、山田洋次作品の脚本・助監督を務めてきた平松恵美子監督が劇映画化しました。
 東京に空襲の危機が強まる中で、品川区の戸越保育所の保母・板倉楓(戸田恵梨香)は、小学生の学童疎開は始まるが、保育園児が放置されている惨状に憤激し、脇本所長(田中直樹)に園児の疎開を進言します。
 反対や心配をする父母たちを説得して、楓は協力を得た愛育隣保館の保母・野々宮光枝(大原櫻子)ら11人の保母と53人の園児で、所長がようやく決めてきた埼玉県平野村(現蓮田市)の妙楽寺へ疎開に出発します。
 ガラス戸も風呂もない廃墟のような荒れ寺に愕然とする楓や光枝ら保母たち。さらに地元からは物を生み出さない「消費班」と疎まれますが、「怒りの乙女」と呼ばれ理不尽を許せない正義感の強い楓は、子どもたちに文化的な生活を享受させようと先頭にたって奔走。天真爛漫な光枝のオルガンの演奏が、親元から引き裂かれて不安に苛まれる子どもたちを励まし、悲惨な疎開生活の中にも明るさをもたらせていきます。
 疎開先にも空襲の被害が及び始め、東京大空襲の惨禍が園児や保母に大きな影を落とす中で、若き保母たちは24時間の保育と雑務に忙殺されながら、さまざまな困難を乗り越え、子どもたちを戦火から守り抜こう必死に奮闘します。
 戦争の無残さを表現した女優たちの熱演が胸に迫り、弱い立場でもっと守られるべき幼児に犠牲を強いた悲劇を、二度と繰り返すまいとの思いがこもった映画です。
 なお、『或る保姆の記録』(1942年、演出・水木荘也、構成・厚木たか)には、戸越保育所の民主的で水準の高い保育教育の実践が記録され、軍国主義下とは思えないのびのびと学び遊ぶ園児たちが活写されています。戸越保育所の先駆性はこの記録映画からもうかがい知ることができます。
 2月22日(金)より全国公開。


安倍9条改憲阻止の活動を支える
カンパをお願いいたします。


安倍9条改憲阻止の闘いが最大の山場を迎えています。安倍9条改憲阻止の活動を支え
るために、皆様方にカンパをお願い申し上げます。ぜひご協力ください。


★郵便振り込み口座番号/00140−9−278825  口座名/映画人九条の会
★りそな銀行・本郷支店(普通)口座番号/1728103 口座名/映画人九条の会


【今後の主な行動予定】

●1月19日(土)、安倍9条改憲NO!1・19国会議員会館前行動
        ■時間&場所:14:00〜衆議院第2議員会館前を中心
        ■主催:安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会
        戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会


●1月28日(月)、総がかり行動実行委員会 国会開会日行動
        ■時間&場所:12:00〜衆議院第2議員会館前を中心
        ■主催:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会


●2月19日(火)、安倍9条改憲NO!2・19国会正門前行動
        ■時間&場所:18:30〜国会正門前
        ■主催:安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会
        戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会


●2019平和といのちと人権を!5・3憲法集会
    ──許すな!安倍改憲発議──
        ■時間&場所:11:00〜有明防災公園(東京臨海広域防災公園)……詳細未定
        ■主催:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会


ページTOPへもどる

映画人九条の会事務局
〒113-0033 東京都文京区本郷2-12-9 グランディールお茶の水301号 映演労連気付
TEL 03-5689-3970 FAX 03-5689-9585
Eメール: webmaster@kenpo-9.net