映画人九条の会Mail No.77

映画人九条の会Mail No.77

2018.11.07発行
映画人九条の会事務局

目次

安倍首相が国会に改憲審議を号令!
憲法99条と三権分立を蹂躙!
──安倍改憲案の国会提出を止めよう!──

 9条改憲に向けて暴走する安倍首相は、10月2日の記者会見で「自民党がリーダーシップをとって、次の国会で(憲法)改正案の提出をめざしていくべきだ」と語り、10月14日の自衛隊観閲式でも自衛隊員に向かって「全ての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える。これは今を生きる政治家の責任だ。私はその責任をしっかりと果たしていく」と述べて9条改憲を事実上宣言し、10月24日の臨時国会の所信表明では「憲法審査会において政党が具体的な改正案を示すことで、国民の皆様の理解を深める努力を重ねていく」「国会議員の責任を共に果たしていこうではありませんか」と述べました。
 憲法99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定めていますが、これらの発言はこの99条の「憲法尊重擁護義務」に明確に違反するものであり、憲法が定める三権分立をも蹂躙するものです。
 しかし安倍首相は、10月30日の国会答弁で、首相が改憲を国会に呼びかけることは「禁じられていない」と開き直り、所信表明演説で憲法審査会の議論の在り方に言及したことについても、「三権分立の趣旨に反するものではない」と居直りました。驚くべき暴論であり、憲法への驚くべき無知・無理解です。
 なぜ安倍首相はこのような暴論を繰り返してまで9条改憲を強行しようとしているのでしょうか。それは、何としても来年7月の参院選前までに改憲の国民投票を実施し、悲願の9条改憲を成し遂げて9条2項を空文化し、海外での武力行使を無制限にできるようにしたいからです。来年の参院選で野党共闘が実り、改憲勢力が3分の2を失えば、改憲は遠のきます。4選がない安倍首相にとっては、いまが9条改憲のラストチャンスなのです。
 だから安倍首相は、憲法99条に違反しようが、三権分立を踏みにじろうが、この臨時国会に改憲案を提出し、憲法審査会で議論を本格化させ、来年の通常国会では二回の国会を跨いで検討したという口実をもって強行採決で改憲を発議し、なにがなんでも7月の参院選前に改憲の国民投票を行おうと焦っているのです。
 しかしこの安倍改憲戦術はあまりに強権的であり、あまりに拙速です。前号でも指摘したように、来年の春にはいっせい地方選挙があり、4月、5月には天皇の退位と即位があります。そして6月末には参院選が本番に突入します。この政治日程の中に国民の一大議論が必要な改憲の国民投票を入れるのは、無茶苦茶です。
憲法を変えるということは、日本の政治の在り様と進路を変える一大事です。それを議論の時間をろくにとらずに進めようとすることは、あまりに拙速であり、無謀というしか言いようがありません。
 最近の世論調査でも、国民は改憲など望んでいません。国民が望まない安倍9条改憲など、絶対に許してはなりません。この臨時国会に改憲案が提出できないよう、安倍9条改憲NO!の声をいっそう大きくして安倍政権を追い込みましょう。そのためには、「安倍9条改憲NO!3000万署名」が最大の武器です。署名数はすでに過半数を超えたと言われています。3000万署名の目標達成に向けて、再度奮起しましょう!

映画人九条の会運営委員一同
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「改憲発議に反対する映画人アピール」準備中!

 この臨時国会に改憲案が提出できないよう安倍政権を追い込むことが当面の最大課題ですが、もし仮に自民党改憲案が国会に提出されたら、映画人九条の会としては「改憲発議に反対する映画人アピール」を出すつもりで準備しています。
 その時は、2015年の「戦争法案反対映画人アピール」に倍するご賛同をお願いいたします。

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自民党「改憲四項目」の危険性
(映画人九条の会mail 74号より再録)

 自民党改憲案の第一項目は、9条改憲です。これは安倍首相が提起した「9条1項、2項を残して、自衛隊を書き込む」という方向でまとめようとしています。安倍首相は「憲法に自衛隊を書き込んでも何も変わらない」と繰り返し弁明していますが、これは真っ赤なウソです。いくら9条の1項、2項を残しても、そこに自衛隊を明記すれば憲法9条自体が矛盾をはらみ、“あとから作った法律が優先する”という法の原則によって戦力不保持を謳った2項は死文化します。そして、「集団的自衛権の行使」に対する制約は消滅します。
 自民党改憲案の第二は、緊急事態条項の新設です。大災害などの緊急事態に対処するためのもの、と言っていますが、緊急事態条項の本質は戒厳令であり、9条改憲に連動した基本的人権や私権の制限です。
 改憲案の第三は、参院選の合区解消に向けて憲法47条を改憲し、「参院選は改選ごとに都道府県から少なくとも1人を選出する」と規定しようとしていることです。しかしこれは、「法の下の平等」「国会議員は全国民の代表者」という原則に反する大改悪です。
 改憲案の第四は、「教育の重要性」を憲法上明らかにするため、憲法26条3項を新設するというものですが、教育の目的について「国の未来を切り拓く上で欠くことのできないものである」としています。これでは「国民の教育権」の拡充ではなく、「国家の教育権」の拡充になってしまいます。
 自民党改憲案の本丸は9条改憲ですが、それを含めて「改憲4項目」として改憲を進めようとしているのは、9条改憲だけを丸裸で国民投票にかけるのは危険だ、という思惑からでしょう。「緊急事態への対処」「合区解消」「教育の充実」という耳ざわりの良い項目で9条改憲を包み、一部野党や国民の支持を得ようとしているのです。

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沖縄知事選、玉城デニー候補が圧勝!
しかし、民意を無視して辺野古新基地工事再開!

 9月30日に投開票が行われた沖縄県知事選挙は、故・翁長知事の遺志を継ぐ「オール沖縄」推薦の玉城デニー候補が、安倍政権が総力を挙げて応援した候補を大差で破って圧勝しました。続いて行われた豊見城市長選挙、那覇市長選挙でも「オール沖縄」の候補が勝利しました。これは、沖縄県民の民意が「辺野古新基地反対」にあることを明瞭に示したものです。
 しかし安倍政権は、この民意を徹底的に無視して11月1日、辺野古新基地の建設工事を再開しました。沖縄県が辺野古の埋め立て承認を撤回したことへの対抗措置として、行政不服審査法を悪用して防衛省が国土交通大臣(石井啓一・公明党)に効力停止の申し立てを行い、国交大臣から承認撤回の効力停止決定をもらったのです。
 そもそも行政不服審査法は、市民の権利が行政機関によって侵害されたときに、その救済のために作られた法律です。その法律を使って防衛省が国交大臣に申し立てを行うことは、法の乱用以外の何ものでもなく、まるで自作自演の茶番劇です。
 安倍政権は、どこまで民意を踏みにじり続けるのでしょうか。玉城デニー知事は、「強い憤りを感じる」と厳しく批判し、来春にも実施される県民投票に強い意欲を示しました。

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★12・10映画人九条の会14周年の集いご案内★
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高田健が吼える!“安倍改憲のつぶし方”

 安倍政権は自民党改憲案をこの臨時国会に提出し、次の通常国会でなんとしても改憲発議しようとしています。憲法の重大危機です。
 映画人九条の会14周年の集いは記念講演の講師として、九条の会事務局員であり、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会共同代表の高田健さんをお招きし、「安倍改憲のつぶし方」を存分に語っていただきます。
 皆さま、ぜひご参加ください。
●日時/2018年12月10日(月)18:50〜20:30
●場所/東京・文京シビックセンター4階・シルバーホール
     東京都文京区春日1-16-21
     地下鉄丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分
     都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
●資料代/700円
●主催/映画人九条の会
 高田健が吼える!“安倍改憲のつぶし方”PDFチラシ

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映画人九条の会『それでも夢はある HOPE』上映会、大盛況!

 10月29日に東京・文京区民センターで行われたリラン・バクレー監督の最新作『それでも夢はある HOPE〜松元ヒロが旅するトランプのアメリカ』上映会は、150名が参加して大盛況のうちに終わりました。
 映画は、リラン・バクレー監督がテレビに出られない芸人・松元ヒロを連れて、あのトランプのアメリカを旅するドキュメンタリー映画で、トランプ政権下でも夢と希望を諦めないで闘い続けている人々が多数いることが描かれ、見る人に驚きと勇気を与えてくれる映画でした。
 上映終了後、リラン・バクレー監督は「この映画は多くの日本人に観てもらいたい。『ザ・思いやり3』も企画中だ」と熱く語りました。

 この映画『それでも夢はある HOPE』の上映運動は、始まったばかりです。全国の皆さま、ぜひ上映運動に取り組んでください。上映料もお安くなっています。
 問合せ先は、電話:090−2625−8775(佐藤) 090−4135−2563(平沢)

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【お薦め映画紹介】

マイケル・ムーア監督の新作 『華氏119 』
平沢清一(映画人九条の会運営委員/映画ライター)

 『華氏911』(2004年)で、ブッシュ政権を痛烈に告発して話題を呼んだマイケル・ムーア監督の新作『華氏119』が公開中です。旧作の同時多発テロの日付「911」を逆転させた「119」は、ドナルド・トランプが大統領選の勝利を宣言した日(11月9日)。トランプの当選を予測した数少ない識者のムーアが、トランプ政権に打撃を与える目的で製作したドキュメンタリー映画です。
 民主党候補のヒラリー・クリントンが支持率・得票数ともに上回ったのに、なぜ共和党候補のトランプが勝利したのか?民意が反映されない選挙人制度の弊害、メディアやリベラル層の「共和党化」による国民の政治離れと大量棄権、バーニー・サンダース旋風をつぶして有権者の期待を裏切った民主党、貧困と格差の増大など、トランプ大統領を誕生させてしまった深刻な政治と民主主義の危機の背景を掘り下げていきます。
 さらに、虚言暴言や差別的言辞をまき散らして分断と排斥を強めるトランプを、「ドイツ・ファースト」を掲げて台頭するヒトラーの映像と重ね合わせて、迫りくるファシズムの脅威に警告を発します。
 ムーアが得意とするユーモラスで辛辣な語り口や痛快な「突撃取材」も健在ですが、福祉の拡充や環境保護を求める多数派の意見が通らない、トランプを支持する「少数派」の支配への強い怒りと切迫感が映像からほとばしります。
 そして、ムーアの故郷でもあるミシガン州フリントで、水道水の鉛汚染による健康被害をもたらした知事に抗議する住民たち、ウェスト・バージニア州で低賃金と過重労働を強いられ、ストライキを決行する公立学校の教師たち、高校銃乱射事件で多くの命が奪われたフロリダ州の高校生たちの銃規制強化を求める大行進など、権力に立ち向かう草の根の市民の闘いに希望を見出していきます。
 安倍政権下の日本にも通じる示唆に富む映画であり、声をあげて行動することの必要性と緊急性を痛感させます。(現在、全国で上映中)



【今後の主な行動予定】

●11月19日(月)、安倍9条改憲NO!11・19国会議員会館前行動
        ■時間&場所:18:30〜衆議院第2議員会館前を中心
        ■主催:安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会
        戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会


●11月20日(火)、「日本の現状と未来」
 〜沖縄の知事選挙とアメリカ中間選挙の結果を受けて、大きく変わる安倍政権の基盤〜
        ■時間&場所:18:30〜文京シビックスカイホール
        ■講師:金平茂紀(ジャーナリスト・TBS「報道特集」キャスター)
        ■参加費:500円       ■主催:安保法制違憲訴訟の会


●11月23日(金)、損保9条の会第15回講演会〜立憲主義を回復し新しい政治を展望する〜
        ■時間&場所:14:00〜16:30 北とぴあ・ペガサスホール(15階)
        ■講師:伊藤 真(弁護士・九条の会世話人)/講演「日本国憲法の価値を考える」
        ■参加費:1000円      ■主催:損保9条の会


●11月25日(日)、第14回「銀行九条の会」のつどい
        ■時間&場所:14:00〜16:30 エデュカス東京(全国教育文化会館)
        ■講師:望月衣塑子(東京新聞記者)/講演「進む政治の私物化 瓦解する官僚だち〜安倍政権とメディア〜」
        ■参加費:1000円      ■主催:銀行九条の会


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映画人九条の会事務局
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