映画人九条の会Mail No.73

2018.1.18発行
映画人九条の会事務局

目次

映画人九条の会の皆さま、あけましておめでとうございます。
「安倍9条改憲阻止」は
今年最大の闘い!

 映画人九条の会の皆さま、映画関係者、映画ファンの皆さま、あけましておめでとうございます。
今年は「安倍9条改憲阻止」が最大の闘いになります。安倍首相は1月4日年頭会見で「憲法のあるべき姿を国民にしっかりと提示し、憲法改正に向けた国民的な議論を深めていく」と語り、1月5日には「(憲法改正は)私たちの歴史的使命だ」と語って、9条改憲への強い執念を示しました。
 自民党憲法改正推進本部は憲法9条の改憲案として、昨年末に9条2項(戦力不保持条項)を残して自衛隊を明記する案と、2項を削除する案を「両論併記」の形で出しましたが、改憲条文案作りを加速させて、今月22日召集予定の通常国会に自民党改憲案を提出する構えです。そして通常国会終盤か、遅くとも秋の臨時国会での改憲発議を狙っています。
 それというのも、2019年になれば4月に統一地方選があり、4月末に天皇の退位、5月に新天皇の即位、7月に参院選があるため、2019年の通常国会での発議と国民投票の実施が難しくなるからです。自民党は「やるなら2018年しかない」と思っているのです。
 自民党の元々の改憲案は9条2項の削除と国防軍の創設、軍事裁判所の設置などですが、これに対して安倍首相は、「2項削除では国民の支持は得られない」として、「9条1項、2項を残して、3項に自衛隊を明記する」という案を提起しました。
 いくら9条の1項、2項を残しても、そこに自衛隊を明記すれば、憲法9条自体が矛盾をはらみ、戦力不保持を謳った2項は死文化します。2項による「集団的自衛権の行使禁止」などの制約は消滅し、海外での武力行使が無制限に行われるようになります。自衛隊を「自衛のための必要最小限度の実力組織」と書き込む案もあるようですが、その「自衛」には集団的自衛権が含まれます。いずれにしても9条は破壊されてしまいます。
 このように憲法9条は今、最大の危機を迎えていますが、改憲の側にも余裕はありません。改憲案の一本化に手間取っており、改憲スケジュールもタイトです。国民世論も、昨年12月の時事通信の世論調査では、憲法改正の発議を1月の通常国会で行うべきかどうかについて、「反対」が68.4%に上りました。共同通信社が今年1月に実施した世論調査でも、安倍政権下での改憲に54.8%が反対し、憲法9条に自衛隊を明記する改憲についても52.7%が反対しています。改憲へ前のめりする安倍政権と国民世論には、大きな温度差があります。
 この国民世論をさらに大きくし、なによりも改憲を発議させない闘いが今一番求められています。国民投票で勝負する、という局面が来るかもしれませんが、国民投票法は問題点だらけで、改憲派に圧倒的に有利な仕組みになっています。テレビCMは投票日の2週間前までやり放題ですし、「過半数」も「有効投票総数の過半数」と一番狭めた基準を採っており、最低投票総数の規定すらありません。
 憲法を守る市民と野党の共闘を広げ、3000万人署名を大きく進めて、何としても改憲発議を阻止しましょう。「安倍9条改憲阻止」のこの闘いは、今年の最大の闘いです。私たち映画人九条の会は、その一翼を担って活動する決意です。映画人九条の会の皆さま、映画人・映画関係者の皆さま、そして映画ファンの皆さま、ともに頑張りましょう!

映画人九条の会運営委員一同
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「安倍9条改憲NO!3000万署名」活動をさらに強めよう!

 「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が提起している「安倍9条改憲NO!3000万署名」の取り組みがいま、いっそう緊急性を増しています。
通常国会での9条改憲発議を阻むために、全国の草の根で、全力で3000万署名の取り組みを強め、改憲勢力が改憲を発議できない状況を作り出そうではありませんか。こうした幅広い声を結集することで、万一発議が強行された場合にも国民投票でそれを否決する力をつくることができます。
 5月3日の憲法集会までに有権者の半数に近い3000万筆を集めましょう。私たち映画人九条の会もこの署名運動に取り組んでいますが、まだまだ大きな波を作り出すには至っていません。テンポアップして、友人や知人、同僚、家族の皆さまに署名を広げましょう。
 署名用紙はネットからダウンロードできます。また、ご連絡いただければお送りします。

  安倍9条改憲NO3000万署名.pdf

 署名が集まりましたら、映画人九条の会事務局にお送りください。よろしくお願いいたします。

映画人九条の会13周年の集い『ザ・思いやりパート2』上映会、大盛況!


 昨年11月20日(月)、映画人九条の会13周年の集い『ザ・思いやりパート2〜希望と行動編』上映会が東京・文京区民センター3A会議室にて開催され、165人の方々が参加して大盛況でした。
在日米軍が日本や世界で何をやっているのか、本当に日本を守るために存在しているのか、米軍が日本の基地を拠点に さまざまな国でどれほど多くの市民に被害を与えてきたのか、などについて鋭く斬り込む見ごたえのある展開に、集まった参加者のみなさんからは大きな拍手が沸き起こりました。
また上映終了後にはリラン・バクレー監督による熱のこもったスピーチもあり、大変充実した集いとなりました。
 このドキュメンタリー映画『ザ・思いやりパート2〜希望と行動編』を全国各地で上映することは、憲法闘争にとっても大きな意味があります。全国の皆さま、ぜひ上映運動に取り組んでください。上映料もお安くなっています。
 お問い合わせ先は、「ザ・思いやり」事務局。
電話:090−4135−2563(平沢) 090−2625−8775(佐藤)
メール:「ザ・思いやり」事務局

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映画人九条の会の14年目の活動を支える
カンパをお願いいたします。

映画人九条の会の運営費は、皆様方の任意のカンパなどによって賄ってきましたが、またそろそろ財政が底をつきつつあります。
安倍9条改憲阻止が緊急のものとなってきた今、映画人九条の会の14年目の活動をさらに発展させるために、皆様方に改めてカンパをお願い申し上げます。ぜひご協力ください。

★郵便振り込み口座番号/00140−9−278825  口座名/映画人九条の会
★りそな銀行・本郷支店(普通)口座番号/1728103 口座名/映画人九条の会

(どちらでも結構です)

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「専守防衛」を投げ捨てて膨張する軍事予算!


 2017年12月8日小野寺五典防衛大臣は、長距離巡航ミサイル導入を2018年度概算要求に盛り込むと発表、これを受けて防衛省は、予算案に取得費など21億9000万円を追加要求しました。12月22日には一般会計総額97兆7128億円の2018年度当初予算案が閣議決定されましたが、防衛費予算は6年連続で増額し、5兆1911億円となり、4年連続で過去最高を更新しています。
 防衛省が導入を狙う巡航ミサイルは3種類。航空自衛隊が配備を進める最新鋭ステルス戦闘機F35に搭載する対地・対艦ミサイル「JSM」(射程500キロ)、空自の主力戦闘機F15などに搭載する対地ミサイル「JASSM」(射程900キロ)と、長距離対地・対艦ミサイル「LRASM」(同)──です。JSMについては取得費21億6000万円、JASSMとLRASMは調査費3000万円を追加要求しています。
 小野寺防衛相はこの長距離巡航ミサイル導入について、「日本の離島防衛などのためであり、敵基地攻撃が目的ではない」と説明していますが、敵が占領した離島を奪還する作戦でなぜ射程数百キロにも及ぶ巡航ミサイルが必要なのか、納得できる説明はなされていません。
 戦闘機に搭載し、地上の目標や海上の艦船を攻撃できる長距離巡航ミサイルは、性能上、日本海上空から北朝鮮内陸部への攻撃が可能です。日本に弾道ミサイルが飛来する前に相手の発射拠点を破壊する「敵基地攻撃能力」の保有はこの間自民党内で検討されてきたもので、政府への提言をまとめた検討チームの座長が小野寺氏です。
また、北朝鮮による弾道ミサイル発射を口実に、陸上配備型弾道弾迎撃ミサイルシステム(イージス・アショア/約1000億円)配備に向けた調査費などに7億3000万円を盛り込んでいます。ヘリコプター搭載護衛艦にF35B戦闘機を搭載する「空母」化への改装も検討しています。
 国会でまったく議論もされないまま、米トランプ政権の言いなりに新兵器が購入され、敵基地攻撃能力が導入・強化されようとしています。憲法9条に基づく「専守防衛」をかなぐり捨てて、9条改憲以前に「戦争する国」づくりを既成事実化し、際限のない防衛費拡大へ突き進もうとする安倍政権の暴走を断じて許すわけにはいきません。

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産業市場規模2兆円超でも、ブラック化が進むアニメ産業
梯 俊明(映画人九条の会運営委員/映演労連書記長)


 昨年の映画界は洋画が復調し、10年ぶりに洋画の興行収入が邦画を上回りそうだと言われていますが、洋画も邦画も、ヒット作の中心はアニメ映画です。
 昨年10月に日本動画協会は、日本アニメの産業市場規模が2016年に初めて2兆円を超えていた(2兆9億円)ことを発表しました。2016年と言えば記憶に新しい『君の名は。』や『この世界の片隅に』が公開された年です。2016年、この大ヒットにけん引されてアニメ映画の興行収入は663億円と対前年141%まで伸びました。しかしこの2作品だけで2兆円突破を説明することはできません。
 日本アニメの市場規模は2012年以降、毎年200億円近い伸張を記録しています。劇場公開に占めるアニメ映画の売上は年々高まる傾向ですが、400億円台を推移している程度ですから、アニメ産業全体に比べれば大きいとは言えません。近年、最も売上を伸ばしているのは海外向け販売(上映、放送、ビデオなど)です。2016年の海外売上は7676億円、前年を何と1843億円(131.6%)も上回りました。海外売上の増額分だけでも、国内映画館全ての年間興行収入に匹敵するほどの驚くべき伸びです。政府のクールジャパン戦略による海外展開の効果と評する声もありますが、残念ながら手放しで喜べる状況ではありません。
 日本アニメを支える制作現場では、最低賃金を遥かに下回る待遇と長時間労働が常態化しています。映演労連フリーユニオンという個人加盟の労組では、この2年連続でアニメ関係の残業代未払い裁判を手掛けていますが、これは氷山の一角に過ぎません。どれだけ海外販売が成功しても、その担い手には全くといってよいほど何ら見返りがない状態は、大企業の内部留保と労働者の賃金が比例しないことに似ています。一握りの者が利益を貪る状況が国の政策の下で容認されていると言えるでしょう。
 特にアニメは、制作に手間がかかるため多重下請構造となっています。直接制作を請け負う元請会社であれば海外展開に伴う配分金などの収益が見込めますが、下請の場合は制作費が支払われるだけですから、作品がいかに大ヒットしようが海外で爆買いされようが、ほぼ見返りがないのです。下請や孫請制作会社がその見返りを元請に求めれば良いのですが、そうはならず労働者の待遇を切り詰めることで乗り切っている、というのが現実なのです。
 いま、働き方改革が注目されていますが、働かせ方こそ厳しく指導されるべきです。労基法を順守していたらアニメ産業が成立しないとすれば、そんな産業は根本から大改革すべきです。大改革して、誰でも安心して働き続けられる環境をつくることが今のアニメ産業には必要です。そのための費用は、2兆円の中に十分すぎるほど含まれているはずです。

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【お薦め映画紹介】

『花筐/HANAGATAMI』
平沢清一(映画人九条の会運営委員/映画ライター)

 日本が戦争のできる国になる危機感と戦争を体験した最後の世代の責務感から、「憲法九条は理屈抜きにいい」と声を上げなければと、大林宣彦監督が肺がんの余命宣告を受けながら完成させた169分の渾身作です。『この空の花・長岡花火物語』『野のなななのか』に続き、戦争を主題とした作品の3作目となります。
 原作は檀一雄の戦前の小説。大林監督が商業映画のデビュー作に切望して陽の目をみなかったシナリオで、40年の時を経て映画化が実現しました。
舞台は太平洋戦争直前の佐賀県唐津。戦争に未来も希望も奪われた6人の若き男女が、放蕩無頼な冒険と「唐津くんち」の壮麗な祭りの熱狂の中で、自分らしく生きようともがく姿を圧巻の映像美で鮮烈に描き出します。「殺されないぞ、戦争なんかに!」「青春が戦争の消耗品だなんて、まっぴらだ!」など、戦争に必死で抗う心情が痛切に胸に迫ってきます。
 この映画をふくめ8本の作品で原爆を描いてきたという大林監督。優しさと人間への信頼にあふれる華麗な大林映画の世界に、あえて対極にある戦争や原爆の影を忍び込ませて対峙し続けています。病魔と闘いながら広島の原爆をテーマとした次回作の撮影の準備もすすめているとのこと。平和を希求する大林監督の一貫した揺るぎない信念に感銘を受けます。

 上映時間2時間49分。現在、有楽町スバル座等で上映中。順次、全国で公開。

【今後の主な行動予定】

●1月19日(金)、安倍9条改憲NO!安倍内閣退陣!
 1・19国会議員会館前行動 (2/19も同行動の予定あり)
        ■時間&場所:18:30〜衆議院第2議員会館前を中心
        ■主催:安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会
        戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会


●1月27日(土)、安倍9条改憲NO!憲法を生かす社会を作ろう
 3000万署名成功めざす交流集会
        ■時間&場所:11:00〜16:00
         日本教育会館8F第一会議室(地下鉄神保町駅徒歩3分・竹橋駅徒歩5分)

        ■記念講演:自民党改憲案の問題点を斬る・講師/清水雅彦氏(日体大憲法学教授)
        ■資料代:500円       ■主催:憲法共同センター


●2月3日(土)、JCJ&マスコミ9条の会講演会
 安倍政権、憲法改悪を国会に発議のかまえ
        ■時間&場所:14:00〜東京・エデュカス東京7階(麹町駅徒歩2分・市ケ谷駅徒歩7分)
        ■講師:中野晃一(上智大教授) 望月衣塑子(東京新聞記者)   ■参加費:800円
        ■主催:日本ジャーナリスト会議(JCJ)・マスコミ9条の会


●4月7日(土)、九条の会集会〜3000万署名前進のために
        ■時間&場所:13:00〜 北とぴあ・さくらホール(東京・JR王子駅すぐ)
        ■詳細未定
        ■主催:九条の会


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