映画人九条の会Mail No.69

2017.3.23発行
映画人九条の会事務局

目次

「共謀罪」法案を許すな!

 森友学園問題やPKO部隊の日報隠蔽問題などで大揺れの安倍政権ですが、「共謀罪」法案を3月21日に閣議決定し、今国会での成立を狙っています。「共謀罪」法案は国民の思想・信条・内心の自由を奪うものであり、基本的人権を蔑ろにした憲法違反のとんでもない悪法です。
 特定秘密保護法、戦争法に続く「共謀罪」の創設は、安倍政権が進めてきた戦時体制固めそのものです。もし「共謀罪」法案が強行されれば、警察等による市民団体や個人への監視が日常化し、密告社会が蔓延します。
 こんな現代版・治安維持法ともいうべき「共謀罪」法案は、絶対に許してはなりません。反対の声をいっそう強め、安倍政権を打倒して「共謀罪」法案を葬り去りましょう!
 映画人九条の会は3月6日、以下のような「『共謀罪』法案に反対する映画人九条の会声明」を発表し、映画人、映画関係者、映画愛好家に反対の声を上げるよう呼びかけました。

「共謀罪」法案に反対する映画人九条の会声明


 安倍政権は、国民の反対運動によって三度も廃案になった「共謀罪」法案を、「テロ等組織犯罪準備罪」法案と名を変えて今国会に上程し、強行成立を狙っています。
 「共謀罪」法案は、犯罪の実行行為がなくてもその相談、準備をしただけで処罰の対象にするものであり、刑法の原則を逸脱するばかりか、憲法が保障する思想・信条・内心の自由を侵す法案です。これが成立すれば、警察の日常的監視と密告社会を招くことになります。まさに現代版・治安維持法です。
 安倍政権は世論の反対に押されて対象犯罪を絞り込もうとしていますが、いかに対象犯罪が絞り込まれようとも、内心の自由を侵す本質は変わりません。
 また「共謀罪」法案は、テロ対策を口実にしているものの、テロ準備とは無関係に広く市民・団体の監視を推し進めるものです。警察等によって、対象となる「組織的犯罪集団」に一般の人々のグループや市民団体、労働組合などが恣意的に加えられる可能性は否定されていません。
 ときに映画は、暴力やテロ行為、国家犯罪などを描くこともありますが、捜査当局がそれを「暴力やテロ行為などを正当化するものであり、それを唆(そそのか)すものである」と恣意的に判断すれば、その企画活動や製作準備活動が捜査・監視の対象にされ、場合によっては処罰されかねません。特に様々な対象に接触し取材するドキュメンタリー映画においては、その危険性は高まります。「共謀罪」法案が成立すれば、映画作りと公開でも企画の制限、テーマの規制、表現の萎縮などが進むことが強く懸念されます。
 私たち映画人九条の会は、憲法の精神に背き、表現の自由を奪いかねない「共謀罪」法案の国会提出とその強行に断固反対するとともに、映画人、映画関係者、映画愛好家に反対の声を上げるよう心から呼びかけるものです。

2017年3月6日
映画人九条の会

ドキュメンタリー映画『ザ・思いやり』4・11映画人九条の会上映会
一人のアメリカ人が米軍への“オモイヤリヨサン”の疑問に挑む!!

 米トランプ政権が在日米軍駐留経費の大幅引き上げと軍事費の負担増を強要しようとしている今、必見の映画!
 監督・編集/リラン・バクレー/2015年/88分


ザ・思いやり  「思いやり予算」とは、日本政府が日本にいるアメリカ軍の駐留経費を負担していることです。法的な義務もなく、これまで六兆円が私たちの税金から支払われてきました。
 この思いやり予算に疑問を持ったアメリカ人がドキュメンタリー映画をつくりました。

 タイトルも『ザ・思いやり』。

 米トランプ政権が在日米軍駐留経費の大幅引き上げと軍事費の負担増を強要しようとしている今、必見の映画です。ぜひご参加ください!


ザ・思いやり  ●日 時/2017年4月11日(火)
 18:50〜20:30 (上映開始19:00)
 ●場 所/東京・文京区民センター・3A会議室
 東京都文京区本郷4-15-14 電話03-3814-6731
 地下鉄丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩5分/都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩0分
 ●参加費/1000円(前売参加券あります)
 ●主催/映画人九条の会

自民党、17年運動方針に「改憲原案の発議」
──安倍首相は「改憲の発議」まで踏み込む!──

 3月5日に行われた自民党大会は、2017年運動方針に「改憲原案の発議」に向けて取り組む方針を明記しました。さらに安倍首相(自民党総裁)は大会の演説で「改憲の発議」にまで踏み込み、改憲論議の加速に異様な執念を示しました。
 自民党大会は総裁任期を「3期9年」まで延期することも決めており、安倍首相が来年9月の総裁選で当選すれば、任期は2021年9月まで延びることになります。安倍首相は「在任中に改憲を成し遂げたい」と何度も発言してきましたが、今回の自民党大会の方針はそれを支えるものです。
 憲法順守義務がある最高権力者の首相自らが改憲の旗振り役をする姿は、異常です。森友学園問題などで腐敗と暴走の極みを示す安倍政権ですが、こんな政権は一刻も早く退陣してもらわなければなりません。


南スーダン自衛隊を直ちに撤収せよ!

 安倍政権は3月10日、南スーダンにPKO部隊として派遣している陸上自衛隊を、5月末までに撤収させると発表しました。安倍首相は「治安の悪化が理由ではない」と言っていますが、誰が何と言ってもこれは憲法違反の南スーダン派兵の破綻を示すものです。
 南スーダンは反政府勢力が乱立し、内戦が悪化し、飢餓が進んで、国連がジェノサイド(民族大量虐殺)に発展する恐れを何度も警告している状況です。PKO参加5原則のうち一番重要な「停戦合意」が崩れているのですから、5月末までに撤収などと言っていたら、自衛隊員が戦闘に巻き込まれる危険性は十分にあります。自衛隊員の命を考えたら、南スーダンに派兵されている陸上自衛隊を直ちに撤収すべきです。
 また、「戦闘」を「武力衝突」と言い換え、虚偽答弁と責任回避発言を繰り返す稲田防衛大臣は即刻辞任すべきです。PKO部隊の日報を自衛隊幹部が隠蔽した問題も、シビリアンコントロールの機能不全を示すもので、大問題です。

【お薦め映画紹介】

『標的の島 風(かじ)かたか』
平沢清一(映画人九条の会運営委員/映画ライター)

 “風かたかなとてぃ 産子 花咲かさ(私が風よけになってこの子の花を咲かせてやりたい)”──米軍属による20歳の女性暴行殺人事件への抗議・追悼県民大会(2016年6月19日)で、参加者65,000人を前に歌手の古謝美佐子さんが歌った「童神(わらびがみ)」の一節だ。これを受けて登壇した稲峰進名護市長は「今回もまた、ひとつの命を救う風かたか(風よけ、防波堤)になれなかった」と無念さに声を震わせた。三上智恵監督もこの歌を冷静に聞くことができないほど怒りと悲しみの中にあった。会場の女性たちも号泣していたという。
 『標的の島〜風かたか』は、本島北部の東村高江で米軍訓練の「標的」にされながら、ヘリパッド建設とオスプレイ配備へ反対する住民に注目した『標的の村』(2013年)、自然豊かな海を埋め立てる辺野古の米軍新基地建設を阻止しようと立ち上がる市民に迫る『戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ)』(2015年)と、沖縄の「基地をなくしたい」という願いと闘いに寄り添い続ける三上智恵監督の最新作である。
 参院選で基地反対の議員が圧勝したにもかかわらず1000人もの機動隊を動員して強行される高江のオスプレイのヘリパッド建設、弾薬庫・軍港・滑走路が一体となった軍事拠点として機能強化される辺野古新基地と、圧倒的な警察力の前に多くの負傷者や不当逮捕者を出しながらも、あきらめずに基地反対の声をあげ続け、激しく抗議する現場にカメラは密着する。
 さらには先島諸島の宮古島・石垣島などへの自衛隊のミサイル(地対艦ミサイル)基地建設という新たな大きな問題を明らかにしていく。中国を封じ込めるため日本を防波堤にするアメリカの「エアシーバトル構想」の一環で、「日本をまもる」こととはかけ離れた実態に、地元で反対の声を強める若い女性たちの活動を追う。
 また、自然と歴史に育まれた伝統的な文化・芸能、踊りや歌(アンガマ、豊年祭、エイサー、パーントゥ、トゥバラーマなど)が、非暴力で粘り強く戦い続ける沖縄の基地反対運動を支え、明るさと希望をもたらせていることも照らし出していく。
 沖縄の人々は未来の子どもたちの防波堤になろうとする。日本政府はそんな沖縄の心を蹂躙し基地を押し付けて、日本本土の防波堤にしようとする。だが、アメリカは沖縄だけではなく日本の国土も含めて、中国の脅威を封じ込める防波堤とみなしている。この映画は“それら三つの「風かたか」=防波堤を巡る物語である”(三上監督のことば)。「標的の島」は沖縄だけのことではなく、日本列島全体のことでもあった。
 本土のマスコミは沖縄の状況をなかなか報道しようとしない。それどころ「基地反対派は金で雇われている」などの虚偽情報さえ垂れ流す。映画の中で高江の反対運動に参加する女性が“知ってしまったら他人事ではなくなった”と語っているが、平和をまもる「防波堤」を築いていく上でも『標的の島〜風かたか』は沖縄の実態と真実を伝える重要なドキュメンタリー映画である。

 119分。3月11日より沖縄・桜坂劇場で先行公開。3月24日より東京・ポレポレ東中野にて公開。他順次全国公開。

【今後の主な行動予定】

●3月23日(木)、3月30日(木)、森友疑惑徹底糾明!安倍内閣は退陣せよ!国会議員会館前行動

 ■時間:両日とも18:30〜
 ■場所:衆議院第2議員会館前
 ■主催:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

●4月6日(木)、共謀罪反対!日比谷野音集会・デモ

 ■日時:4月6日(木)18:30〜集会 終了後、国会・銀座デモ
 ■場所:東京・日比谷野外音楽堂
 ■共催:共謀罪NO!実行委員会、総がかり行動実行委員会

●4月19日(水)、沖縄にもう、これ以上基地はいらない・日比谷野音集会

 ■日時:4月19日(水)18:30〜集会 終了後銀座パレード
 ■場所:東京・日比谷野外音楽堂
 ■主催:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

●4月29日(土)、沖縄連帯のつどい

 ■日時:4月29日(土) 13:15開場、14:00開会〜17:00終了
 ■場所:東京・日本教育会館    ■資料代:500円
 ■主催:全国革新懇・東京革新懇・沖縄革新懇

●5月3日(水)、施行70年いいね!日本国憲法−平和といのちと人権を!5・3憲法集会

 ■日時:5月3日(水)、12:00〜ライブ 13:00〜集会 終了後パレード
 ■場所:有明防災公園(東京臨海広域防災公園)
 ■主催:5・3憲法集会実行委員会


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