映画人九条の会Mail No.62

2015.10.5発行
映画人九条の会事務局

目次

違憲の戦争法廃止へ─
立憲主義と民主主義を 取り戻す闘いを!

 暴走する安倍・自公政権は9月19日未明、圧倒的な反対世論を無視して違憲の「戦争法案」を国 会内の多数の暴力で強行「成立」させました。これは立憲主義を踏みにじり、国民主権と民主主義 を破壊する許しがたい暴挙です。そして平和憲法をズタズタにし、この国を「アメリカのために戦争する国」にする売国的蛮行です。
 この間、国会論戦と反対運動の中で明らかになったことは、集団的自衛権行使の必要性として安 倍首相が繰り返し強調してきた「邦人輸送中の米艦防護」や「ホルムズ海峡の機雷掃海」などが立 法事実(法案の必要性)になり得ないこと、逆に戦争法案は国民をアメリカのために「海外で戦争 する国」づくりに組み込み、危険にさらすものだということです。
 こうしたことが明らかになるにつれて、「戦争法案」反対の運動は巨大なうねりとなって全国に拡 がり、歴史に残る大闘争になりました。若者たちも立ち上がり、民主主義運動の新たな高揚を示し ました。8月30日の「戦争法案廃案!安倍政権退陣!8.30 国会大行動」に12万人以上が結集し たのをはじめ、国会前は連日、数万人の市民で埋め尽くされました。
 映画人が6月中旬に発した「戦争法案」反対映画人アピールには、日本映画界を代表する方々、 巨匠と呼ばれる方々が賛同の声を挙げ、戦争法案反対の運動に大きな力を与えました。
 暴走・安倍政権はこれから戦争法の発動、軍拡、明文改憲へと突き進むでしょう。メディア支配や 言論規制も強めてくるでしょう。しかし、国民の大多数は戦争法の廃止を求めており、戦争法廃止の運動はすでに始まっています。
 戦争法廃止の運動と世論に押されて、野党も戦争法廃止に向けて新たな動きを見せています。日 本共産党が呼びかけた「戦争法廃止の国民連合政府」には、各界から大きな期待が寄せられています。
 戦争法を廃止できるか、安倍政権を打倒して戦争法廃止の連合政府が実現できるかどうかは、こ れからの廃止運動の発展如何にかかっています。野党議員の中には「右派」と呼ばれる議員も多く、 戦争法廃止の連合政府に後ろ向きの勢力も少なくありません。彼らを前向きにさせるには、戦争法 廃止運動のいっそうの発展と高揚、世論の圧倒的な支持が必要です。まさにそれは、私たち自身のこれからの闘い如何にかかっているのです。
 私たち映画人九条の会は、違憲の「戦争法案」強行採決を満身の怒りを込めて糾弾するとともに、 立憲主義と民主主義を取り戻すために、暴走・安倍政権の即時退陣と戦争法廃止に向けてこれからも全力を尽くす決意です。
 ズタズタにされても憲法9条はまだ生きています。憲法9条がある限り、戦争法は違憲であり無 効です。9条を柱にして多くの国民が手を結び、違憲の戦争法を必ず廃止しましょう!

「戦争法案」反対映画人アピール賛同者は777名!
──2015年9月末現在──

 高畑勲監督、降旗康男監督、神山征二郎監督、山田洋次監督、大林宣彦監督、大澤豊監督、羽田 澄子監督、ジャン・ユンカーマン監督、池谷薫監督、金丸研治・映演労連委員長の10氏が呼びかけ た「戦争法案」反対映画人アピールは、最終的に777名に達しました。賛同者の約半数が映画人・映画関係者でした。
 この「戦争法案」反対映画人アピールの賛同呼びかけは、大きな反響を呼び起こしました。マス コミも注目し、世論にも一定の影響を与えるとともに、「戦争法案」廃案を求める運動にも寄与しま した。 映画人アピール呼びかけ人の皆様、賛同者の皆様、本当にありがとうございました。これからは戦争法廃止に向けて、いっそう運動を強めたいと思います。

11・16映画人九条の会11周年の集い
にご参加ください!

違憲の戦争法廃止へ― これからの憲法闘争の方向と展望 講師/小澤隆一(東京慈恵会医科大学教授) 違憲の戦争法廃止へ― これからの憲法闘争の方向と展望 講師/小澤隆一(東京慈恵会医科大学教授)



暴走する安倍内閣は9月19日未明、圧倒的な反対世論を無視して 違憲の「戦争法案」を強行成立させました。この国は、「戦争する国」 になろうとしているのです。しかし、「戦争法案」反対の運動は巨大な うねりとなって全国に拡がり、歴史に残る大闘争になりました。若者 たちも立ち上がり、民主主義運動の新たな高揚を示しました。
暴走・安倍政権は戦争法の発動、言論規制、軍拡、明文改憲へと突 き進むでしょうが、こうした新たな情勢の中で戦争法廃止に向けてど う闘えばよいのか、これからの憲法闘争はどういう方向をめざすべき なのか、闘いの展望はあるのか、いまみんなが真剣に考えています。
映画人九条の会は11周年の集いを開催するにあたって、九条の会などで活躍されている慈恵医 大の小澤隆一教授に、「これからの憲法闘争の方向と展望」を語ってもらうことにしました。皆さま、 ぜひともご参加ください。

■2015年11月16日(月) 18:50〜20:30
■東京・文京シビックセンター4階・シルバーホール
東京都文京区春日1-16-21 電話03-3812-7111(文京区役所代表)
地下鉄丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩2分/都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩2分
■参加費 800円(資料代含む)
■主催/映画人九条の会
〒113-0033東京都文京区本郷2−12−9 グランディールお茶の水301号
電話 03-5689-3970 FAX 03-5689-9585 メール
webmaster@kenpo-9.net

9・9映画人九条の会学習集会・報告

「戦争法案」がこの国にもたらすもの
山田 朗(明治大学教授)講演・概要

 戦争法案」をめぐって緊迫した情勢にあ った9月9日、東京・文京シビックセンター・ シルバーホールで行われた「映画人九条の会 学習集会」は、悪天候にもかかわらず約50 名の方が参加しました。
 実際に集団的自衛権が行使されたらこの国 はどうなるのか、国民生活はどうなってしま うのか──について、軍事問題の第一人者で もある明治大学の山田朗教授にリアルに語っ てもらいました。「戦争法案がこの国にもたら すもの」と題した山田朗教授のその講演概要 をお伝えします。

【山田朗講演・概要】

山田朗教授はまず、安倍政権が成立を狙う「安保法制」=「戦争法案」の特徴と危険性について 語りました。 既存法10本を包括して改悪する「国際安全法制整備法」と、新法である「国際平和支援法」の 2法案のキーワードである「4事態」(@武力攻撃事態 A存立危機事態 B重要影響事態 C国際平 和共同対処事態)のうち、新たな概念である「存立危機事態」によって、集団的自衛権行使の要件 を規定し、「重要影響事態」によって地域的制限を削除して、「日本周辺」以外でも(米軍)支援活 動ができると規定するなど、「戦争法案」の危険性を改めて確認しました。 また山田教授は、自衛隊の兵器体系の更新など既成事実によって「改憲先取り状況」が現出して いる上に、政権交代以降の「防衛大綱」閣議決定、「日米ガイドライン」=日米防衛協力のための指 針の改定によって、自衛隊の軍事力が「量的拡大路線」へと転換されたことを指摘しました。そし て改定された「日米ガイドライン」が「戦争法案」の前提になっており、「戦争法案」によって米軍 と自衛隊との「軍事一体化」がさらに進むことを明らかにしました。 「戦争法案」によって日本はどうなるのか、日本の軍事力はどうなるのかについては、2012 年の自民党改憲案に手掛かりがあるとして、「戦争法案」は自衛隊の国防軍化、憲兵と軍法会議の設 置、民間人の軍活動への協力義務化(徴用)、「戦力」不保持が消滅し兵器体系への拘束(歯止め) なくなるなど、軍拡・参戦・言論弾圧・徴用という明文 改憲の露払いの役割を担っていること、日本の軍拡は東 アジアから中東への軍拡の連鎖に道を開くものであることを明らかにしました。 山田教授は、私たち市民がこうした状況を阻止するた め、「領土問題・緊張を9条改憲への突破口とさせない」 「軍拡の連鎖を断ち切る努力」「軍拡を経済成長の手段と させない」ことを提起し、講演を締めくくりました。

【お薦め映画紹介】

『母と暮せば』

『父と暮せば』と対になる作品
──山田洋次監督が長崎を舞台に描くファンタジ──

 ヒロシマがテーマの名作戯曲『父と暮せば』と対になる作品を、『母と暮せば』という題で長崎を 舞台に作りたい──。作家・井上ひさしさんの思いに捧げて山田洋次監督が脚本を書いた作品が、 終戦70年の今年、ついに公開されます。

「あなたは元気なの?」そう伸子が尋ねると、浩二は腹を抱えて笑い出した。 「僕はもう死んでるんだよ。元気なわけないだろう」

1948年8月9日。長崎で助産婦をして暮らす伸 子(吉永小百合)の前に、3年前に原爆で亡くしたは ずの息子・浩二(二宮和也)が現れる、というストー リー。やさしさと切なさに溢れる、山田洋二監督初の ファンタジー映画です。音楽は、復帰第一弾となる坂 本龍一氏が担当しています。
 今夏、長崎で行われたロケ中のことですが、スケジ ュールの合間を縫って監督と吉永小百合さんが8月9 日の原爆祈念式典に出席されました。
 同月30日には、「戦争法案」に反対する12万人の 市民が集まる国会正門前で坂本龍一氏がマイクを持ち、 「民主主義と憲法を自分たちの手に取り戻そう」と訴えました。戦後70年という節目の年、ナガ サキをテーマにした本作には、平和に対するスタッフの強くて篤い思いも同時に込められています。 12月12日(土)、全国ロードショー公開。出演は吉永小百合、二宮和也、黒木 華、浅野忠信、 加藤健一ほか。監督・山田洋次、音楽・坂本龍一、脚本・山田洋次/平松恵美子。 ご期待ください。

【情報コーナー】

●10月8日(木) 10・8戦争法廃止!安倍内閣退陣!総がかり行動集会

 動実行委員会」は10月8日(木)19時より、東京・文シビックホール大地下鉄後楽園駅または春日)で「10・8戦争法廃止!安倍内閣退陣!総がかり行動集会」を行います。
 講演 集会の内容は、戦争法に抗して行動きた各界人びとから発言です (詳細は後日) 。入 場無料です(カンパのお願い有り) 。ぜひ参加しまょう !
 また 総がかり行動実委員会 は今後 、毎月19日に国会行動を行うこと表明し ています 。


 映画人九条の会代表委員お一でもある山内久氏( 90歳/ 元・日本シリオ作家協会理 事長)が9月29日、老衰のため逝去されました。 心よりご冥福をお祈いたします 。

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