映画人九条の会Mail No.60

2015.05.26発行
映画人九条の会事務局

目次

安倍政権、「戦争法案」を上程 ! 憲法9条全面的破壊 !

 「戦争する国」づくりに向けて暴走する安倍政権は5月14日、「国際平和支援法案」と「平和安全整備法案」の2本の戦争法案を閣議決定し、15日、国会に提出しました。

 「国際平和支援法案」は、アメリカ軍支援のための新たな恒久派兵法であり、「平和安全法制整備法案」は、武力攻撃事態法や自衛隊法、周辺事態法、PKO協力法など10の法律を一つにまとめて改定するという乱暴なものです。いずれも「平和」とか「安全」という文言をちりばめていますが、中身はそれとは正反対で、憲法9条を全面的に破壊する戦後最悪の「戦争法案」です。

 「国際平和支援法案」は、これまで「非戦闘地域」に限定していた自衛隊「後方支援」の範囲をアメリカ軍の「戦闘現場」隣接地域にまで拡大するものです。「平和安全法制整備法案」は、いずれも武力行使の制限や戦闘地域に行かないことなどの「歯止め」をとりはずし、「切れ目なく」あらゆる事態でアメリカ軍を支援するための法案です。周辺事態法の改定では「日本周辺」が取り払われて、日本に「重要な影響」がある事態には、自衛隊は米軍支援のために地球のどこへでも出ていくことになります。

 また、「国会の事前承認」も形ばかりで、両院はそれぞれ7日以内に議決することを義務づけられています。国権の最高機関のはずの国会が、行政府の下請け機関に成り下がるのです。

 これらはすべて憲法違反であり、憲法破壊の行いです。憲法を守ろうとせず、憲法を無視し破壊しようとする安倍政権を、私たちは断じて許すことができません。

 しかも安倍首相は、国民主権と国会、世論を無視してアメリカ議会で「夏までの成立」を公約し、今国会の会期(6月24日)を大幅に延長しても一気にこの戦争法案を通す構えです。

 しかし国民は、安倍政権のこの暴走を断じて許しません。5月3日の横浜の憲法集会には3万人が結集し、全国各地では連日、安倍暴走STOP!、戦争法案反対の行動が取り組まれています。各種世論調査も、「安全法制」「今国会での成立」に多数が反対しています。

 私たち映画人九条の会も、次頁に記載の「九条の会事務局からの訴えと提案」に応えて、憲法を破壊するこの戦争法案の廃案を求めて全力で奮闘する決意です。

九条の会事務局からの訴えと提案
(2015年5月1日 九条の会事務局)

いま憲法9条は存亡の岐路に立っている

 安倍政権は、自衛隊をいつでもどこへでも派兵しアメリカの戦争に加担できるようにする「戦争立法」を、この 5月中旬にも国会に提出することを決めました。万一この戦争立法が通るようなことがあれば、憲法9条の下で戦後一貫して自民党政権といえども崩すことのできなかった外交の原則―海外でふたたび戦争しない国、という原則を覆す戦後日本の進路の根本的な転換となります。

 九条の会は、この戦争立法を全力で阻止するために、2月23日にアピール「憲法9条を根底からくつがえす『戦争立法』と改憲の暴走を止めよう―主権者の声を全国の草の根から」を発表し、戦争立法と明文改憲にNOの声をつきつける草の根からの行動を呼びかけました。3月15 日には 全国討論集会を行って、280の会、452人が集い戦争立法阻止の運動を議論しました。

 すでに、戦争立法を阻止するための共同の取り組みも急速に具体化されています。安倍政権の 暴走に反対してきた3つの団体が一つにまとまり「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が結成され、5月3 日には、さらに広い人々の共同で集会が企画されているのもその 一つです。

 九条の会事務局は、2・23アピールをふまえ、「戦争立法と改憲の暴走を止め」るために全国の会はどんな行動が求められているかを提案します。

戦争立法を阻むにはどんな運動をすればよいか

 安倍政権の戦争する国づくりを阻むには、戦争立法を何としても阻止しなければなりません。 安倍政権のもくろむ明文改憲も、戦争立法を阻むことで挫折に追い込むことができます。

 そのためには、法案強行を許さない草の根からの圧倒的世論と、法案の危険な中味を徹底して追及しその成立を阻止するための国会内外での行動の連携が不可欠です。

1.争立法反対、改憲阻止の一点で、保革を越えて広範な人々が、全国各地で声をあげ可能な行動を起こすこと。
2.国会議員一人一人への働きかけをさまざまな形で強め、「戦争立法には反対」の多数派をつくること。
3.マスメディアが法案の本質、国民の声をきちんと報道するよう働きかけること。

九条の会らしい行動を

うえの課題を実行するために、九条の会は九条の会らしい行動を起こしましょう。

 一つは、戦争立法と 9条の改憲に反対するすべての人々が加われるような幅広い共同の行動を追求することです。これまでの経験だけに頼った行動になっていないか、もう一度ふり返り、原点に立ち戻りましょう。

 もう一つは、7000以上のすべての九条の会が立ち上がり、文字通り全国、津津浦々、自分たちの地域、分野で共同の行動を実現することを追求することです。

 「共同」と「地域」、これが合い言葉です。以下に具体的な行動を提案します。

戦争立法阻止のための具体的行動の提案

@ 法案が国会に提出される5月から8月までを「山場月間」に設定し、会の全力をあげて、会独自あるいは共同して可能なあらゆる行動に、創意をこらして取り組みましょう。

A 世論調査をみても戦争立法には反対の人が多いように、戦争立法に対する漠然とした不安や懸念は広がっていますが、戦争立法の危険性はまだまだ、国民の中に届いていません。
 創意をこらした宣伝行動が何よりも急がれます。また、各地、分野の九条の会は、くり返し戦争立法の学習会を開き、学習しましょう。
 九条の会事務局も、5月 16 日に、戦争立法を批判的に検討する事務局学習会を開きます。

B 改めて、戦争立法反対の署名をつくります。この署名を持って地域の中に入り、地域の人々と話しあいましょう。

C 自分たちの地域・分野で、これまでの発想を大きく越えてさまざまな立場、分野の人々の名を連ねて、戦争立法反対、改憲反対の共同声明を出しましょう。それを地域・分野の人々にくまなく配り、署名と一緒に運動への参加を訴えましょう。

D すべての国会議員に対し、地元の事務所を直接訪れて戦争立法の危険性を訴え、反対の意思表示をするよう働きかけましょう。
 戦争立法は、アメリカの戦争に地域を動員し巻き込みます。自治体首長、地方議会の議員を訪れて戦争立法に反対するよう働きかけましょう。
 各地域の地方紙、地方放送局に申し入れ、戦争立法の危険性を報道し少なくとも法案には慎重な審議をすることを訴えるよう、働きかけましょう。

E いま全国では、戦争立法に反対するさまざまな共同が広がっています。これらの動きと連携を強めつつ自分の地域で共同の集会・共同の行動をつくるために、働きかけを強めましょう。
 地域で開かれる共同の集会や統一行動には、九条の会で議論し積極的に参加しましょう。

F ブロックや都道府県、地域毎の交流を強めましょう。各地の九条の会は事務局に取り組みを知らせてください。

これから夏にかけて、憲法の正念場です。全力をあげて戦争立法阻止のために頑張りましょう。

戦争法案反対闘争・憲法闘争の主な行動予定

●「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」による国会前行動

【日時】5月21日(木)〜毎週木曜日 18時30分〜19時30分
【場所】国会周辺

●九条の会東京2015

【日時】6月4日(木) 18時00分開場、18時30分開会
【出演】小林 節(慶応義塾大名誉教授)、池田香代子(ドイツ文学翻訳家)、宝田 明(俳優) 石井夕紀(バイオリン演奏)、小森陽一(九条の会事務局長/東大教授)
【場所】東京/なかのゼロ・大ホール
【申込&参加費】事前申込制、参加費1500円
【主催】九条の会東京連絡会=03-3518-4866

●STOP安倍政権!6・13大集会 (数万人規模)

【日時】6月13日(土) プレ企画12時20分〜、集会12時50分〜、パレード14時30出発
【場所】東京臨海広域防災公園 (ゆりかもめ 有明駅・徒歩2分/りんかい線 国際展示場駅・徒歩4分)
【主催】6.13大集会・大行動実行委員会

●女性「九条の会」10周年のつどい

【日時】6月27日(土)13時00分開場、13時30分開会〜16時
【講演】浜 矩子さん『女性が創る地球の未来』
【場所】東京/銀座ブロッサム(中央会館)
【参加費】前売券1000円、当日券1200円
【主催】女性「九条の会」=03-6240-0941 Eメール josei-9jonokai@aioros.ocn.ne.jp

──このほかにも全国各地で様々な戦争法案反対闘争、憲法闘争が取り組まれます。

反戦名作映画上映会第8弾
3月24日「猫は生きている」上映会、大盛況!

 映画人九条の会の反戦名作映画上映会第8弾として3月24日夜、映画「猫は生きている」上映会が東京・文京区民センターで行われ、約100人が参加して大盛況でした。

 映画「猫は生きている」は、1975年に映演総連大映労組(現・映演労連角川映画労組)が中心となって作った人形劇映画(75分)で、幻の傑作反戦映画と言われている映画です。東京大空襲の炎が親子と猫たちに襲いかかる姿を衝撃的に描いています。そのあまりの悲しさに、会場からすすり泣く声が聞こえました。監督の島田開さんも上映会に参加され、制作の苦労話などを話されました。

 安倍政権による「戦争する国」づくりと改憲暴走が進んでいる今こそ、多くの方に見ていただきたい映画です。各地で上映会を計画される場合は、映画人九条の会がご協力いたします。

【お薦め映画紹介】

おかあさんの木

平 沢 清 一(映画人九条の会運営委員/映画ライター)

『おかあさんの木』は、東映東京撮影所とアルタミラピクチャーズが初めて共同で製作した「戦後70年記念作品」。長きにわたり小中学校の教科書に採用され、多くの子どもたちに戦争の悲惨さを伝えてきた大川悦生氏原作の国民的児童文学の映画化です。

 7人の息子を次々と戦争に送り出し、そのたびに桐の木を植えて無事を祈った田村ミツという母親の物語。当時の日本中のおかあさんたちが経験した、戦争がもたらす悲嘆や苦悩を、主演の鈴木京香が情感豊かに表現し、好演しています。

 ミツの「非国民」的な抵抗や反戦活動家の姿も描かれますが、「戦争反対」を直接的に主張するのではなく、素朴な温かいタッチで戦争に翻弄される庶民をしみじみと描き、その無残さを浮かび上がらせていきます。

 演出は、『がんばっていきまっしょい』や『解夏』など、ヒューマンな視点と洞察力ある細やかな表現で定評のある磯村一路監督。「原作の“二度と戦争をしてはならない”」との思いを「いまの時代、また次の世代へと伝えたい」と語ります。

 須藤泰司プロデューサーは、小学校時代に原作を読んで強い感銘を受け、『相棒』や『探偵はBARにいる』では、「どうヒネったら面白くなるだろう、ということばかり考えていた」が、今回は「ど真ん中の直球勝負、渾身の力を込め」「“普通の田舎のおかあさん”を描くことで、この節目の年に先の大戦を問いたい」と思いを綴っています。

 戦争体験の風化が懸念される一方で、「戦争のできる国」への策動が急速化する現在、広範な人びとに観てもらいたい、平和への熱い願いが込められた反戦映画の秀作です。(6月6日より全国公開)。

 6月6日から全国公開される映画『おかあさんの木』は、戦時下の母子の愛と悲しみを描き、平和への思いを込めた映画で、映画人九条の会としてもぜひ鑑賞をお薦めしたい映画です。
 『おかあさんの木』のご鑑賞に際しては、お得なペア前売券(2000円)のご利用をお勧めしております。ペア前売券の取り扱いは、上映予定の各劇場窓口でお求めいただけます。取り扱い劇場については公式サイトhttp://www.mothers-trees.com/をご参照ください。


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