映画人九条の会Mail No.59

2015.03.02発行
映画人九条の会事務局

目次

安倍政権、 参院選後に 改憲を狙う!

 「戦争する国」づくりと改憲に向けて暴走を続けている安倍晋三首相は、2月4日の船田元・自民党憲法改正推進本部長との会談で、2016年夏の参議院選挙後に改憲の発議をめざすことを明らかにしました。

 安倍首相は昨年末の第3次安倍内閣発足時の会見で、「憲法改正、これは歴史的チャレンジだ」と発言し、1月29日の予算委員会では「21世紀にふさわしい新たな仕組みを自分たちの手で作っていく。それは私の信念だ」と述べるなど、国会の答弁等で明文改憲を推し進める発言を繰り返し、明文改憲への妄執とも言うべき強い執念を示しています。

 改憲の発議は、衆参両院のそれぞれ3分の2以上の賛成が必要ですが、与党の自民党・公明党は、衆院では3分の2を超えているものの、参院では3分の2に届いていません。来年夏の参院選で3分の2以上の議席を獲得し、改憲発議の環境を整えて、一気に国民投票に持ち込むことを狙っているのです。

改憲の最大の狙いは9条と「国防軍」──しかし

 安倍首相が改憲で狙う最大のテーマは、9条改憲と「国防軍」の創設です。しかし、これには国民多数の強い反対があります。そこで自民党や安倍首相が考えているのは、まず国民に理解されやすいテーマで先行して改憲を行い、国民に“改憲に慣れてもらう”という戦術です。

“国民に理解されやすいテーマ”として浮上しているのが、「環境権」であり、非常時の首相の権限を定めた「国家緊急権」の新設だと言われています。しかし今、「環境権」を新たに憲法に明記しなければならない不都合はないし、憲法を無視し続ける安倍政権に「国家緊急権」を預けるのは恐怖でしかありません。“改憲に慣れてもらう”とか“国民に理解されやすいテーマ”に騙されてはいけません。その次には必ず9条改憲と「国防軍」の創設が待っているのです。

 改憲勢力は今国会から、憲法審査会等で野党を巻き込んだ改憲テーマの優先順位の設定や、改憲原案づくりの議論を開始しようとしています。憲法を守る闘いの最大の正念場です。「戦争する国」づくりと改憲に向けて暴走する安倍内閣に「NO!」の声をつきつけ、なんとしても改憲をストップさせましょう!

1975年/人形劇映画/75分/原作・早乙女勝元(作)、田島征三(絵)/音楽・いずみたく/監督・島田 開
■2015年3月24日(火) 18:30開場 18:50開演
■東京・文京区民センター3A
東京都文京区本郷4-15-14 電話03-3814-6731/地下鉄丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩5分/都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩0分
■参加費 500円
■主催/映画人九条の会 
〒113-0033東京都文京区本郷2−12−9 グランディールお茶の水301号 映演労連気付
電話 03-5689-3970 FAX 03-5689-9585 メール webmaster@kenpo-9.net

 映画「猫は生きている」は、映演総連大映労組(現・映演労連角川映画労組)が中心となって作った人形劇映画で、公開当時は全国で100万人近い観客を集めたと言われている、反戦映画の傑作です。

 しかし、その後はあまり上映される機会がなく、幻の傑作反戦映画と言われていました。人形劇ながら、東京大空襲のシーンは大変な迫力です。安倍政権による「戦争する国」づくりと改憲暴走が進んでいる今こそ、多くの方に見ていただきたい映画です。

 今回、角川映画労組のご厚意で「猫は生きている」上映会を行うことができるようになりました。この機会に、ぜひご覧ください。

九条の会が2月23日に「アピール」を発表!

憲法9条を根底からくつがえす「戦争立法」と改憲の暴走を止めよう――主権者の声を全国の草の根から

 安倍晋三内閣は、先の総選挙で与党が3分の2を確保したことで白紙委任を得たかのごとく、昨年7月の閣議決定を具体化する「安全保障法制の整備」に向け、暴走を加速させようとしています。

その内容は、政府自らが60年以上にわたって違憲としてきた集団的自衛権の行使に踏み出すことをはじめとして、国連の集団安全保障措置や多国籍軍の軍事行動などへの後方支援を、どこでもかつ迅速に行えるようにする自衛隊派兵恒久法の制定、「駆け付け警護」や「任務遂行のための武器使用」の解禁など、広範多岐にわたっており、自衛隊が海外で他国の軍隊と肩を並べて軍事行動ができるようにするための「戦争立法」に他なりません。これは、憲法9条を根底から破壊するものであり、テロなどとの暴力の応酬の連鎖にはまり込むことをも意味します。その先には、憲法に「国防軍」を明記するなどの明文改憲が控えています。

 安倍政権は、この野望実現のため、4月の統一地方選挙後に法案を上程して一括審議に持ち込もうとしています。しかし、総選挙後に行われたマスコミによる世論調査でも、「集団的自衛権行使容認に反対」の声が過半数を占めています(2014年12月15・16日共同通信で55%、2015年1月15・16日毎日新聞で50%)。政府・与党が「戦争立法」の全容の公表や日米ガイドラインの再改定の日程を先送りし続けているのも、この国民の世論を恐れてのことにほかなりません。

 いま、こうした国民世論を受け、安倍内閣の暴走にストップをかけようとするさまざまな団体による取り組みが発展し、それらの団体間の共同が広がっています。これを、私たちは心から歓迎し、その成功を願ってやみません。同時に、結成から10年を経過した私たち九条の会にとっても、その真価が問われる正念場です。

 戦後70年の今こそ、日本国憲法9条の意義を再確認し、日本と世界に輝かすべき時です。それこそが、世界に広がる暴力の連鎖を断ち切る保障です。全国のすべての「九条の会」が、憲法9条を破壊する安倍内閣の戦争立法と明文改憲に「NO」の声をつきつけ、その暴走をストップさせるために、草の根での訴えと話し合いを創意をこらして展開しましょう。

2015年2月23日

九条の会

映画産業の状況

──映連が発表した「2014年全国映画概況」──
(「映演労連2015春闘方針」より抜粋)

 1月27日に映連が発表した2014年全国映画概況によると、2014年の興行収入は4年ぶりに2000億円を超えて2070億3400万円(前年比6.6%増)に。入場者数も若干増えて、1億6111万6000人(前年比3.4%増)でした。興収の邦洋比は邦画58.3%、洋画41.7%で、『アナ雪』効果によって洋画が2.3ポイント増えたものの、相変わらず邦画が優位を保っています。

 スクリーン数は、丸の内ルーブル、新宿ミラノ座、三軒茶屋シネマ、新橋文化、新橋ロマン、吉祥寺バウスシアターなどの閉館があったものの、シネコンが9サイト増えて、トータルで3,364スクリーンとなり、前年比で46スクリーン増えました。特に注目を集めたのが昨年3月に開業した「TOHOシネマズ日本橋」で、初年度から100万人近くを動員しました。

 昨年4月の消費税増税に伴い、レディスデーやシニア割引などこれまで1000円であった各種割引が1100円に引き上げられました。映画産業への大きな影響が懸念されましたが、2014年前半の『アナと雪の女王』メガヒットの華やかな話題が、その懸念を押し流しました。

 作品別興収のトップ10は、1位が『アナと雪の女王』254.8億円で、2位以下を大きく引き離しました。2位2位『永遠の0』87.6億円、3位『STAND BY ME ドラえもん』83.8億円、4位『マレフィセント』65.4億円、 5位『るろうに剣心 京都大火編』52.2億円、6位『テルマエ・ロマエ II』44.2億円、7位『るろうに剣心 伝説の最期編』43.5億円、8位『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVlE』42.6億円、9位『名探偵コナン 異次元の狙撃手』42.1億円、10位『ドラえもん 新・のび太の大魔境 〜ペコと5人の探検隊〜』35.8億円(東宝)。

 アニメ優位が続いていますが、そこで働いている労働者の労働環境は劣悪なままで、アニメ労働者の貧困は続いています。一時隆盛を誇ったTV局主導の映画は、2014年はやや後退しました。

 1位『アナと雪の女王』の突出したヒットは、最近の一極集中の流れを象徴的に表しています。観客が映画を選ぶ際の判断基準が「話題になっているか」「多くの人が観ているか」になり、人気作にさらに観客が集中する構図となっています。また、メガヒット作の多くが東宝配給作品であり、東宝の年間興収はまたも700億円を超えました(4回目)。

 2014年初頭に意欲的な製作本数を発表した松竹は、『好きっていいなよ。』(興収11億万円)、『小さいおうち』(12億6000万円)、『超高速!参勤交代』(15億5000万円)、『ホットロード』(24億7000万円)、『白ゆき姫殺人事件』(10億円)と、近年にないヒット本数を打ち出しました。

 海外のアニメ製作はすでに多くが3DCGですが、日本では2Dアニメの人気が根強く、3DCGアニメの需要は薄いと言われてきました。しかし3DCGアニメの『STAND BY ME ドラえもん』は、大方の不安をよそに 83億8000万円の興収で3位に食い込み、3DCGアニメ不人気論をくつがえしました。

 ここ数年翳りを見せていた洋画は、『アナと雪の女王』とそれに続く『マレフィセント』などのヒットにより、盛り返しを見せました。しかし、洋画全般をみると依然として厳しさは続いており、興収20億円を超えた洋画作品は6本で、前年より4本減りました。

 映画原版の保存については、内閣府知財戦略本部の「知的財産推進計画2014」に「アーカイブの利活用促進に向けた整備の加速化」が記載され、ようやく動き出した感がありますが、具体的な動きには至っておらず、引き続き大きな運動が必要です。

多額のカンパ金、ありがとうございました。

 映画人九条の会は昨年末から11年目の活動を支えるカンパをお願いしてきましたが、2月26日現在557,810円が集まりました。心から御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
 いただきましたカンパ金は、会の活動資金として大切に使わせていただきます。

【情報コーナー】

●九条の会が3月15日(日)に全国討論集会
 九条の会が3月15日(日)13時から、東京・専修大学神田キャンパス301号室で全国討論集会を行います。
「戦争立法」と改憲暴走を止めるため、全国の九条の会の運動の力と知恵を結集しようというものです。参加は、各九条の会ごとに申し込みが必要です。映画人九条の会も参加します。  
●3月22日(日)、「安倍政権NO!☆0322大行動」
 3月22日(日)、「民主主義を取り戻せ!/安倍政権NO!☆0322大行動」が行われます。13:00〜東京・日比谷野音で大集会、14:00〜国会請願デモと国会大包囲です。主催は、安倍政権NO!☆0322大行動実行委員会。映画人九条の会も参加します。 
●4月3日(金)、奥平康弘さんの志を受けつぐ会
 九条の会の呼びかけ人のお一人であった奥平康弘さんが今年1月26日に亡くなられましたが、奥平さんの志を受けつぐ会が4月3日(金)14時から、東京・調布市グリーンホールで行われます。参加費は1000円。問合せ先は、電話03-3221-5075。 

映画人九条の会事務局
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