映画人九条の会Mail No.58

2015.01.19発行
映画人九条の会事務局

目次

「戦争する国」づくりを進める改憲勢力との 憲法対決の年!

 映画人九条の会の皆さま、あけましておめでとうございます。
 昨年12月の突然の解散・総選挙で安倍政権は、「この道しかない」としてアベノミクスによる景気回復だけを訴え、自公でなんとか3分の2を維持しました。しかし自民党は、比例代表では全有権者の17%の支持しか得ていません。また次世代の党が激減するなど、改憲勢力は20数議席も議席を減らしました。そして、憲法を守り活かすことを鮮明に訴えた日本共産党が大きく伸び、改選前の2.6倍増の21議席を獲得したのが総選挙の特徴でした。
 ところが安倍政権は、総選挙が終わるや否や、「戦後以来の政治改革の道をまっすぐ進めと、国民から力強く背中を押してもらった」として、前のめりで明文改憲に突き進むことを宣言しました。そして日米ガイドラインの「改定」、集団的自衛権の行使容認を具体化する関連法案の作成など、 「戦争する国」づくりに向けてまっしぐらです。アベ・ファシズム体制に向けて、「この道しかない」と突き進む姿勢を露わにしています。国民世論と民主主義を無視する極右的政治の姿は、恐ろしく異様です。

 しかし改憲勢力も、憲法改悪には国民の過半数以上が反対であることを認識しています。だからこそ彼らは、国民の「理解」を得るための運動を強化しようとしています。すでに地方各地で始まっているシンポジウムや漫画パンフレットの作成、九条の会に対抗した「美しい日本の憲法をつくる1000万人賛同者」作りの署名活動などが、大々的に開始されています。
 また、連日マスコミ首脳との飲食を繰り返している安倍首相は、マスコミや大衆文化を利用した改憲策動をさらに強めてくるでしょう。
 さらに自民党は、公明、民主、維新など与野党にも共同改憲案作りを呼び掛けています。与野党を巻き込んで改憲策動を進めようというのです。これも要注意です。

 今年は、第2次世界大戦・アジア太平洋戦争終戦70年の年です。数千万人の尊い犠牲の上に作り上げられた平和憲法が、終戦70年の節目の年に破壊されるようなことがあってはなりません。終戦70年の年に「戦争する国」が作られることは、断じて許せません。まさに今年は、歴史的な憲法対決の年なのです。
 改憲阻止のカギは、“改憲反対・9条守れ”の世論を、揺るぎないほど高めることです。そのためには、改憲勢力の運動を大きく上回る運動が必要です。
 “改憲反対・9条守れ”“アベ・ファシズムを許すな“の一大闘争を全国で展開し、さらに大きな世論を作り上げましょう。映画人九条の会もその一翼を担って、今年も意気高く活動する決意です。
 映画人九条の会の皆さん、映画人・映画関係者の皆さん、そして映画ファンの皆さん、ともに手を携えて改憲策動を阻止し、「戦争する国」づくりをやめさせ、平和で、憲法9条が生きる国を作るために頑張りましょう!

映画人九条の会運営委員一同

集団的自衛権の行使容認に反対する 映画人九条の会アピール
──現在までの賛同者報告(2015.1.19現在/順不同)──

★ 映画人九条の会が昨年6月から募ってきた「集団的自衛権の行使容認を許さない映画人九条の会アピール」への今日現在の賛同者を発表します。安倍政権の改憲暴走を止めるために、さらに多くの映画人、映画関係者、映画愛好者の方々のご賛同をお願い致します。

高畑 勲(映画監督)/ジャン・ユンカーマン(記録映画作家)/須藤遙子(横浜市立大学客員准教授)/仲内節子(わらび映画サークル事務局長)/藤井建男(画家)/松原千里(京都映画サ−クル会員)/龍尾由美子(愛労連事務局員)/加藤美恵子/吉村英夫(映画評論家)/原田浩(アニメーション演出)/仲築間卓蔵(元テレビプロデューサー)/佐藤洋史・和子/田中重幸(角川映画労働組合委員長)/今井一雄(元MIC議長)/羽淵三良(映画評論家)/小山内美江子(脚本家)/大澤 豊(映画監督)/神山征二郎(映画監督)/降旗康男(映画監督)/金丸研治(映演労連委員長)/大原穣子(方言指導)/本城啓礼/松坂 朗(映演労連書記次長)/おがわよしえ(主婦)/長瀬未代子(日本シナリオ作家協会会員)/立石幸子/澤島 忠(映画監督)/上田耕一(俳優)/土橋 亨(映画監督)/池田太郎(脚本家)/中田新一(映画監督)/倍賞千恵子(俳優 歌手)/山田洋次(映画監督)/佐伯孚治(映画監督)/梯 俊明(映演労連書記長)/飯野高司(日活労組書記長宮下 卓)/深澤英之(映演労連フリーユニオン)/一石鉄哉(映演労連フリーユニオン)/高橋邦夫(映画人九条の会事務局長)/高室晃三郎(日本映画・テレビ編集協会副理事長)/桂荘三郎(プロデューサー)/木村 修/中村未来歩(映像ディレクター)/竹石研二(「深谷シネマ」館長)/岡 泰叡(映画監督)/三上尚美(映像作家の原石)/田近正樹(会社員 一映画ファン)/上野佳子(キャリアカウンセラー)/根本千明(元俳優)/佐藤 仁(日本人)/海老原卓生/荒井 孟(靴修理人)/大山陽子(ヘアメイク)/小林正夫(プロデュ-サ-)/山下久美子(松竹渇c業)/吉村次郎(元東映動画撮影監督)/藤代東洋夫/守屋圭三/千田浩司(映画・アニメ関係者)/吉田 圭佑(デザイナー志望)/杉原憂(俳優)/日野繭子(アーティスト)/村岡伸一郎(映画プロデューサー)/安齋 剛/落合香里)/さのてつろう(映画撮影監督)/くまがいマキ(劇作家、映画配給)/小北裕子(メイクアップアーティスト)/臼井浩一(理学療法士)/石野憲助(映画プロデューサー)/小澤 孝/坂西 勝(全東映労連東映動画労組委員長)/富岡敬治/坂本あゆみ(映像作家)/清水喜美子(脚本家)/豊島晃司(CINEとかち代表)/小池晴二(日本映画・テレビ美術監督協会顧問)/木下祐子(徳島映像センター)/小池淳(元映画監督、元CM演出)/湯川 勉/高野昭二(映画監督、シナリオセンター講師)/古川茂子/下田武志(映像・イベントプロデューサー)/加藤健一/後藤秀司(映画監督)/村主哲夫(京都映画人九条の会)/宇井孝司(アニメーション映画監督、脚本家)/村田邦子(元東映動画労組)/鈴木瑞穂(俳優)/松井良彦(映画監督)/山川 元(映画監督)/里見治代/ワシオトシヒコ(美術評論家 詩人)/井上 徹(日本映画復興会議事務局長)/石本祐二(教育学研究者)/齊藤 宏(映画愛好者)/樽角みほり(スクリプター)/浦野広明(立正大学法学部客員教授)/近藤和美(劇団風の子)/高見哲也(京都映画人九条の会(高島市九条の会))/岡村雄二(札幌映画サークル代表)/佐藤 皇太郎(アニメーション・ディレクター)/山口 哲(高校教員)/加藤美恵子/上野忠國(笹塚幡ヶ谷九条の会員)/中西祐輝(大学生)/高橋 望(主婦)/藤本さとみ(児童英語講師)/浦野 清(無職)/田近正樹(映画好きの会社員)/西口芳美(スタイリスト)/伴 毅(日本映画復興会議 事務局次長)/朝原雄三(映画監督)/池島ゆたか(映画監督)/伊藤 功(札幌映画サークル)/佐藤重直(映画監督・日本映画監督協会理事)/山内壽恵(教員退職者・全退教会員)/大竹しのぶ(俳優)/島田 耕(映画監督)/他

計128名

★10・27映画人九条の会10周年の集い・報告
「日米ガイドライン『改定』が狙うもの」 山田朗講演・概要

 昨年10月27日に東京・文京シビックセンター・シルバーホールで行われた「映画人九条の会10周年の集い」は、約70名の方が参加し、大きく成功しました。 「日米ガイドライン『改定』が狙うもの」と題した山田朗先生(明治大学教授)の記念講演概要をお伝えします。

【山田朗講演・概要】

 冷戦の終結によって欧州の軍事費が減少する中、日本が世界第2位の軍事費を占めた時もありましたが、現在は世界第5位。しかし、日本の軍事費が下がったわけではありません。日本の軍事費は年間4兆円を超えて、高止まりで推移しています。この高止まりが中国や韓国を刺激し、更には中国をけん制するインド、そしてパキスタンにも波及しています。無用な軍拡競争を煽った冷戦の構図が極東アジアを軸に展開されているとも言えます。その要因が、米国の要請にひれ伏し続ける現日本政府にもあることは間違いありません。
 歴史的な点では勝海舟が日清戦争に猛反対し、田中正造(足尾銅山鉱毒事件を告発した政治家)が無戦思想にまで到達したにも関わらず、近代日本は中国や朝鮮半島との付き合い方を誤ってきたとも言えます。「イラク派兵違憲判決(08年、名古屋高裁)」をはじめ、私たちの平和憲法は大きな力を持っています。この平和憲法を活かして、戦争する国へと歴史を後戻りさせない粘り強い運動が求められているのです。
 最後に、@領土問題を九条改憲の突破口とさせない A軍拡の連鎖を断ち切らせる B軍拡を経済成長の手段とさせない、といった視点での運動も重要となってくるのではないでしょうか。

【お薦め映画紹介】

薩(さっ)チャン 正(しょう)ちゃん〜戦後民主的独立プロ奮闘記〜

平 沢 清 一(映画人九条の会運営委員/映画ライター)

 記録映画『薩チャン正ちゃん〜戦後民主的独立プロ奮闘記〜』の製作がすすめられています。日本映画の一時代を築いたといえる50年代から60年代の独立プロ黄金期。その最盛期に活躍した山本薩夫監督(薩チャン)と今井正監督(正ちゃん)を中心に、民主的独立プロの軌跡を振り返っていきます。
 香川京子・早乙女勝元・高橋エミ・降旗康男・宮古とく子・山田洋次・山本圭ら、関係者のインタビューや『暴力の街』『どっこい生きてる』『真空地帯』『にごりえ』『太陽のない街』『異母兄弟』『荷車の歌』『キクとイサム』といった映画のシーンと写真や資料映像を駆使し、貴重な「記録」として残すとともに「記憶」に残る熱い映画人たちの生き様をドラマチックに描くことで、広範な人々に観てもらえるような作品にしたいとのことです。
 『天保水滸伝大原幽学』(山本監督)や『戦争と青春』(今井監督)で、両監督の助監督を務めていた池田博穂監督(『時代を撃て!多喜二』『弁護士布施辰治』『渡されたバトン〜さよなら原発』などを監督)が演出にあたり、ナレーションに江原真二郎・中原ひとみ・赤塚真人が登場します。
 完成は今年2月末の予定、完成記念試写を開催し劇場公開を計画中。反戦平和の秀作を数多く生み出した独立プロの作品と映画人をたどるこの映画は、戦後70年に重要な示唆を与えてくれそうです。

★問合せ先 記録映画「薩チャン 正ちゃん 戦後民主的独立プロ奮闘記」製作委員会
 TEL 03-5929-7326 https://motion-gallery.net/projects/DOKURITSU

映画人九条の会の11年目の活動を支える カンパをお願いいたします。

 映画人九条の会の運営費は、皆様方の任意のカンパなどによって賄ってきましたが、またそろそろ財政が底をつきつつあります。改憲阻止が緊急のものとなってきた今、映画人九条の会の11年目の活動をさらに発展させるために、皆様方に改めてカンパをお願い申し上げます。
 ぜひご協力ください。

★郵便振り込み口座番号/00140−9−278825  口座名/映画人九条の会
★りそな銀行・本郷支店(普通)口座番号/1728103 口座名/映画人九条の会
(どちらでも結構です)
 

【情報コーナー】

★ 昨年6月10日の九条の会講演会が収められた岩波ブックレットNo.918「憲法九条は私たちの安全保障です」が刊行されました。
<詳細はこちらをクリックしてください> http://www.9-jo.jp/news/MagShousai/MMS150110.htm#a  
★ 昨年11月24日の九条の会集会で好評だった「非戦を選ぶ演劇人の会」の朗読劇台本が公開されています。
<詳細はこちらをクリックしてください> http://www.9-jo.jp/news/MagShousai/MMS150110.htm#b  
★ 集団的自衛権行使容認反対のポスター、積極的にご活用下さい。
<詳細はこちらをクリックしてください> http://www.9-jo.jp/news/MagShousai/MMS150110.htm#c  
★ 九条の会の請願署名「集団的自衛権行使は海外で戦争をすることであり平和憲法の破壊です。憲法9条を守り、生かしてください」の署名用紙あります。
<詳細はこちらをクリックしてください> http://www.9-jo.jp/news/MagShousai/MMS150110.htm#d  

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