映画人九条の会Mail No.54

2014.01.20発行
映画人九条の会事務局

目次

2014年は憲法闘争の正念場 草の根の力で 壊憲・安倍暴走を止めよう!

 映画人九条の会の皆さま、新年あけましておめでとうございます。

「戦争をする国」づくりに向けて暴走する安倍政権は、昨年秋の臨時国会で国家安全保障会議(日本版NSC)設置法を成立させ、12月6日には多数の世論に背いて秘密保護法を強行成立させました。また12月中旬には武器輸出三原則の見直しや軍事費増強を盛り込み、攻撃的性格をいちだんと強めた「新防衛大綱」を発表。年末には安倍首相が突如靖国神社に参拝し、アジア諸国のみならず、アメリカやロシア、EU諸国から一斉に大批判を浴びました。
 そして今年は、いよいよ集団的自衛権の行使容認に歩を進める構えです。民主主義を無視し、憲法を無視し、国民世論を無視して「戦争する国」への直線コースをまっしぐらです。

 安倍首相の私的諮問機関である「安保法制懇」は、今年4月にも集団的自衛権の行使容認に向けた報告書を出す予定で進んでいます。またそれに呼応するように安倍政権は、今年春の通常国会で集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更を打ち出そうとしています。そして通常国会か、あるいは今年秋の臨時国会に、集団的自衛権の行使容認を法的に確定させる「国家安全保障基本法案」や、集団的自衛権行使容認の具体化法案の提出を狙っています。
 集団的自衛権の行使とは、同盟国であるアメリカが引き起こす戦争に日本も参加するというものですが、これは自民党政権も含めた歴代内閣が“憲法で禁止されている”としてきたものです。これを解釈改憲で覆してしまったら、憲法9条は事実上破壊され、その上国家安全保障基本法が成立したら、日本は本当に「軍事国家」になってしまいます。

 しかし、日本国民はこんな危険な国づくりを求めているのでしょうか。最近の各種の世論調査を見ても、「集団的自衛権の行使容認反対」「憲法9条改正反対」が多数を占めています。秘密保護法は成立した後も「反対」が多数を占めています。歪んだ選挙制度による国会の在り様が、民意とズレているのです。
 昨年10月7日に九条の会が発表したアピールは、「戦前、日本国民はすべての抵抗手段を奪われ、ズルズルと侵略戦争の泥沼に巻き込まれていった苦い経験をもっています。しかし、いま日本国民は国政の最高決定権をもつ主権者であり、さらに侵略戦争の教訓を活かした世界にも誇るべき九条を含む日本国憲法をもっています。いまこそ日本国憲法を守るという一点で手をつなぎ、歴史の教訓に背を向ける安倍内閣を草の根からの世論で包囲し、この暴走を阻むための行動にたちあがりましょう」と訴えています。
 今年は、否応なく壊憲阻止闘争の正念場です。民意と大きくかい離した安倍政権がいつまでも持つはずがありません。モルヒネを射ち続けるようなアベノミクスも、一部の富裕層をいっそう肥え太らせただけです。1月19日名護市長選、2月9日東京都知事選の結果によっても流れは大きく変わります。九条の会アピールを胸に刻み込んで、9条を守る草の根の活動を活発に展開し、壊憲・安倍暴走を阻止しましょう。

九条の会運営委員一同

秘密保護法を廃止しよう!

 昨年12月6日に秘密保護法案が強行成立されましたが、プロデューサーの新藤次郎さん、映画監督の高畑勲さん、羽田澄子さん、降旗康男さん、山田洋次さんによる「秘密保護法案に反対する映画人の会」の呼びかけ応えて、映画監督の大林宣彦さん、宮崎駿さん、是枝裕和さん、周防正行さん、井筒和幸さん、神山征二郎さん、山本晋也さん、森達也さん、黒沢清さん、鎌仲ひとみさん、原田眞人さん、小栗康平さん、俳優の吉永小百合さん、大竹しのぶさん、倍賞千恵子さん、奈良岡朋子さん、宇崎竜童さん、脚本家の山田太一さん、ジェームス三木さん、小山内美江子さんなど、日本映画界を代表するような錚々たる方々が反対を表明されました。
 「秘密保護法案に反対する映画人の会」の賛同者は、400名を超えて今も広がっています。また多くのジャーナリスト、民主団体、労働組合、政党などが秘密保護法の廃止に向けて運動を継続しています。
 私たち映画人九条の会も、秘密保護法の廃止に向けて行動を起こしたいと思います。「秘密保護法」廃止へ!実行委員会のサイト http://www.himituho.com/ に、「秘密保護法」の廃止を求める請願署名簿がありますので、ダウンロードして活用しましょう。

映画人九条の会2014・2・26講演会のお知らせ


 長編アニメ「名探偵コナン絶海の探偵」、映画「図書館戦争」、映画「永遠の0」──2013年は自衛隊が全面協力する映画が3本、全国公開されました。またテレビでは、航空自衛隊の広報室そのものをドラマの舞台にした連続テレビドラマ「空飛ぶ広報室」が放送されました。
 この「自衛隊協力映画&番組」の急増をどう考えればよいのでしょうか。安倍・暴走政権の改憲策動の流れと無関係であるはずがありません。
 映画人九条の会は2月26日(水)夜、「自衛隊協力映画」を研究してこられた須藤遙子(すどうのりこ)先生を講師にお招きし、東京・文京シビックセンターで「自衛隊協力映画」の急増をどう考えるか、という講演会を行います。 安倍政権の改憲策動に危機感を感じている方だけでなく、映画関係者、映画愛好者にとっても必聴の講演会です。ぜひご参加ください。
 
■2014年2月26日(水) 18:50〜20:40
■東京・文京シビックセンター4階・シルバーホール
東京都文京区春日1-16-21 電話03-3812-7111(文京区役所代表)
地下鉄丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩2分/都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩2分
■参加費 800円(資料代含む)
■主催/映画人九条の会 (後援/映演労連)
〒113-0033東京都文京区本郷2−12−9 グランディールお茶の水301号
電話 03-5689-3970 FAX 03-5689-9585 メール
webmaster@kenpo-9.net

秘密保護法の廃止を求める3・27緊急映画会!

●1978年製作/原作・澤地久技/監督・千野皓司/出演・北村和夫・吉行和子ほか/100分

 映画人九条の会は秘密保護法の強行に抗議し、その廃止を求めて3月27日(木)夜、緊急映画会を行います。上映する作品は、原作・澤地久技さん、監督・千野皓司さんの「密約─外務省機密漏洩事件」。沖縄返還にまつわる機密を取材し、国会議員に漏らしたことで有罪にされた毎日新聞記者の事件をモデルにした映画です。秘密保護法の恐ろしさを知るにぴったりの映画です。
 この映画は、他ではなかなか見る機会がありません。今回は35ミリフィルムで上映しますので、この機会にぜひご鑑賞ください。

■3月27日(木)18:50〜20:50 (開場18:30)
■東京・文京シビック小ホール
東京都文京区春日1-16-21 電話03-3812-7111(文京区役所代表)
地下鉄丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩2分/都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩2分

■参加費 前売り1000円(当日1200円)
*前売券は電話・FAX・メールでお申し込みください。
■主催/映画人九条の会

熱気と気迫!九条の会第5回全国交流討論集会

 「九条の会第5回全国交流討論集会」が昨年11月16日、東京千代田区の日本教育会館で開かれ、全国各地から約600人が参加、熱気ある討論と交流をおこないました。
 小森陽一事務局長の開会あいさつで始まった全体会議では、よびかけ人の奥平康弘さん、澤地久枝さん、大江健三郎さんの3人があいさつ(要旨は九条の会HP参照)。
 続いて広島県9条の会ネットワークの石口俊一さんが全県規模で取り組んだジャンボチラシ配布活動について報告、宮城の憲法九条を守る首長の会の森久一さんが首長の会を全国的規模に広げようとの訴え、さらに東京の落合・中井九条の会の木村隆さんが100回を超えた同会の学習会の取り組みについて報告しました。中央大学9条の会の青山昂平さんは、12月10日に開催するピース・ナイト9への協力をよびかけました。
 午後は「全国交流集会」で初の企画となったシンポジウムが「集団的自衛権行使容認と憲法」をテーマに同じ全体会会場でおこなわれ、明治大学教授の浦田一郎さん、元内閣副官房長官補の柳澤協二さんをパネリストに、九条の会事務局の渡辺治さんが司会をしておこなわれました。異色ともいえる組み合わせの二人のパネリストの発言に会場は聞き入り、終了後、事務局には「この企画はヒットでしたね」との感想がよせられました。
 この後、参加者は5つの分散会(うち1つは全体会会場でおこなわれた大分散会)と女性、学生の分科会にわかれて交流・討論しました。なお、「全国集会」の全容を収録した「報告集」は1月下旬に発行の予定です。                  (九条の会HPより転載)

「はだしのゲン」上映会、82名の参加で成功!

 昨年12月2日に行った映画人九条の会「はだしのゲン」上映会(東京しごとセンター講堂)は、82名の参加で成功しました。反戦名作映画上映会はこれからも続けます!

【お薦め映画紹介】

今度は、家族の“絆”ではなく、“秘密”を暖かく描く
            ─時代は恐ろしい戦争へと向かう


山田洋次監督作品「小さいおうち」

羽 渕 三 良(映画人九条の会運営委員/映画評論家)

 この映画が描く時代は、昭和10年〜終戦直後、そして平成12年〜21年の間。この二つの時代の平井家の市民的生活を相互に交差させながら、やがて一つの物語としてうまく展開する。 平井家の家族は、会社役員の主人雅樹(片岡孝太郎)と、その妻の時子(松たか子)とその息子の三人。それに女中さんのタキ(前半の時代は黒木華、後半は倍賞千恵子)が同居する暮らし。戦前のモダンライフの生活。玄関、応接間、台所など、当時の家作りが見事に再現されている。

昭和・戦争の時代の“恋愛事件”を心を込めて描く
 昭和の時代の正月。平井家には会社の社長と社員が集まり、戦争による金儲けの話で盛り上がる。デザイン部門の新人板倉(吉岡秀隆)だけは戦争の話に加われない。酒に酔い社員たちが帰った後、平井家に泊まることに。これを機に板倉は平井家に出入りすることになり、レコードを時子と一緒に聞いたりして、気持が通じ合う。そして、二人は“恋愛事件”へと進む。
 時子は、板倉の下宿に出かけるようになる。近所に人たちにも知られるようになる。しかし、時子に好意を寄せる女中のタキは、その“秘密”を必死になって守り抜く。主人の雅樹にも知らないで通す。タキを中心として“秘密”を守り抜いていく(昭和時代の)様子が描かれるが、巧妙で興味深い。この映画の見所の一つ。
 やがて、戦争がいっそう激しくなり、平井家をふくめ戦争に飲み込まれていく。板倉にも召集令状が届く。板倉の出征の朝、時子は板倉と最後の別れのため、出かけようとするが、タキがそれを止める。
 今日の日本。安倍内閣は国民の多数の意見を無視し、暴走によって「秘密保護法」を国会で通したが、この映画は昭和の時代を今日と大変よく似ている時代として描いている。 1月25日(土)から全国公開される。

【情報コーナー】

国会開会日の1月24日(金)、「秘密保護法」廃止!1・24国会大包囲行動」
 「秘密保護法」廃止へ!実行委員会の主催で、国会開会日の1月24日(金)、秘密保護法の廃止を求める国会包囲行動が行われます。
 集合は衆議院第二議員会館前、時間は12時30分〜14時。ヒューマンチェーンは13時30分と14時の二回行われます。万全の寒さ対策で参加しましょう。

映画人九条の会事務局
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