映画人九条の会Mail No.40

2010.07.28発行
映画人九条の会事務局

目次

参院選、与党過半数割れ! 民主党政権で憲法はどうなる?

 映画人九条の会の皆さん、お元気ですか。梅雨が明けたと思ったら爆発的な猛暑が襲ってきて、熱中症で倒れる人も相次いでいます。皆さん、体調にはくれぐれもお気を付けください。

 さて、7月11日に投開票が行われた参院選で、民主党が大敗して与党が過半数割れしました。民主党は比例代表で2007年参院選より得票を2割減らしました。2009年衆院選と比べると、4割近くも票を減らしています。

 昨年総選挙で「国民生活第一」を掲げて圧勝し、政権奪取を果たした民主党ですが、この10ヶ月間国民の期待を裏切り続け、民主党トップは「政治と金」の醜い姿をさらけ出し、普天間基地問題では迷走し、参院選では突如消費税増税を言い出しました。参院選の大敗は、そのことへの厳しい審判だったと思います。

 しかし1人区で前進した自民党も、比例代表では2007年参院選より約250万票も減らし、比例の議席数では過去最低となり、民主党が負けても「自民党回帰」にはなりませんでした。

 では、これから国会はどうなるのでしょうか。民主党は衆議院では300議席以上を有していますが、3分の2はありません。過半数割れした参院で法案が否決されでも、かつての自公政権のように衆院で再議決して成立させることができません。菅政権のまわりは地雷だらけだと言われており、「ねじれ」解消に向けて新たな連立や「パーシャル連合」をめぐって慌ただしい動きが続いています。

 民主党は9月に代表選を行うために、菅体制が継続するかどうか分かりませんが、日本経団連の米倉会長は参院選結果についてのコメントで「『強い経済、強い財政、強い社会保障』の実現といった国民的課題について、与野党は、具体化策を積極的に論議し、まとめていく責務がある」と述べています。どうも財界は、菅政権の長期政権を望んでいるようです。マスメディアも菅政権の継続を支持しています。

 そういえば、「強い経済、強い財政、強い社会保障」という主張は、小泉元首相の「構造改革」の主張にそっくりですし、選挙戦中の菅首相の演説も小泉元首相を彷彿とさせてぞっとしました。普天間基地問題も日米合意で決着済み、という立場です。そういう菅政権の長期化を財界などが願っているということは、菅政権は「構造改革」へのUターンと対米従属強化をめざしているからなのでしょうか。

 その菅首相、参院選中に「参院選後の臨時国会で、衆院比例定数の80削減法案を提出する」と宣言しました。与党が過半数割れし、事態は2大政党制とは逆の方向に進んだため、衆院比例80削減法案は簡単には出せないと思いますが、もし民主党と自民党の野合でこれが強行されれば、民主、自民で95パーセントを占める国会になりかねません。日本の民主主義の危機です。そしてその先にあるのは、消費税増税と憲法改悪でしょう。

 鳩山前首相は、自身は民主党切っての改憲派でしたが、改憲を願っていはいない国民の声に押されて改憲を口にすることができませんでした。民主党自身も、「明文改憲」より「解釈改憲」に突き進んでいました。しかし菅体制は微妙です。菅体制を支える枝野幹事長は民主党改憲派のリーダーで、改憲手続き法推進の中心人物でした。

「衆院比例定数の80削減」を宣言し、改憲派のリーダーを幹事長に押し立てて進む菅体制の動きに、私たちは十分な警戒が必要です。

井上ひさしさんの志受けつぐ講演会、盛大に ──よびかけ人会議も開催──

 「井上ひさしさんの志を受けついで 九条の会講演会 日米安保の50年と憲法9条」が6月19日、東京・日比谷公会堂で開かれ、全国各地からの参加者で会場は埋め尽くされました。

 講演会ではよびかけ人の大江健三郎、奥平康弘、澤地久枝の各氏が講演、つごうで参加できなかった梅原猛さんと体調を崩して参加をとりやめた鶴見俊輔さんからはメッセージがよせられ紹介されました。

 また、井上ひさしさんのおつれあいの井上ユリさんも参加、参加者にあいさつをされ、井上ひさしさんが、「言葉を道具に働いている作家として、どうしたら平和や9条を多くの人たちに伝えられるか、9条の講演会でも、あるいは芝居や小説を書くときも一生懸命苦心」してきたことを紹介しました。

 つづいて、「井上ひさしさんの思いがすべて表現されている」(ユリさん)という『吉里吉里人』の一節が朗読されました。

 講演会にさきだってよびかけ人会議がひらかれ、これには講演した3人のよびかけ人のほか高齢のため講演は辞退した三木睦子さんも討論に参加されました。

 会議では、事務局からこの間の「憲法セミナー」、ブロック別交流集会、草の根の「会」の結成状況などについての報告を受け、今後の「九条の会」のあり方等についてのよびかけ人による懇談の結果、以下の内容を確認しました。

【よびかけ人会議での確認事項】
  •  これまで各地でおこなってきた「九条の会憲法セミナー」については、「九条の会」講師団を再編・充実させ、そのときどきの憲法状況に見合った内容で積極的におこなっていく。
  •  (1)全国各地の「九条の会」はよりいっそう草の根での活動を重視し、その根をさらに広く深く張っていく努力を続ける。そのためにも、(2)各地域の段階で、それぞれの「九条の会」が意識的に相互のネットワークを結んでいくことを大切にし、お互いに協力し合いながら日常活動を展開していくことをめざす。(3)職場・分野などの「九条の会」の活動内容を交流し合い、相互の連携を強めていく。

(「九条の会」ニュースより転載)


「井上ひさしさんの志を受けついで〜九条の会講演会(日米安保の50年と憲法9条)」のDVDが発売開始されました。
■DVD 時間/122分 定価/1700円(税込)・送料別途
九条の会事務局に、メールもしくはFAX03-3221-5076、電話03-3221-5075でお申し込みください。

★この夏、お薦め映画! ──海南友子監督のドキュメンタリー映画── 「ビューティフル アイランズ」

 海南友子監督の新作ドキュメンタリー映画「ビューティフルアイランズ」が、東京・恵比寿ガーデンシネマで公開されています(8月27日まで)。今後、順次全国で公開される予定です。

 世界で最初に沈むと言われている南太平洋のツバル、満潮時にショッピングモールや公共広場までもが海水に飲み込まれてしまう水の都ベネチア、凍土が融け、大地が海に削られていくアラスカのシシマレフ島──。

 この映画は、気候変動に揺れる3つの島を見つめたドキュメンタリー映画です。主人公は、気候も文化も異なる島で、それぞれ故郷を愛して生きる人々の“普通の暮らし”。絆を育む祭りや、代々受け継がれた伝統工芸、食文化、水辺のゆったりとした生活。そのどれもが今、気候変動によって失われる危機にあります。

 彼らのありのままの暮らしの素晴らしさを見てもらうため、この映画はナレーションやBGMをあえて入れていません。波や風の音に耳を澄ませ、子供たちの輝く笑顔とともに、近い未来に消えてしまうかもしれない文化を味わう。気候変動がさらに深刻になったとき、私たちはそれを失うかもしれません。そのことの怖さを知る映画です。ぜひご覧ください。

(映画「ビューティフルアイランズ」HPより)

11月13日、「東京9条まつり」開催! 〜あけてびっくり玉手箱! 目からウロコの宝箱!〜

 2010年11月13日(土)、東京・大田区産業プラザ(大田区南蒲田一丁目20番20号/電話03-3733-6600)において「東京9条まつり」が開催されます。これは東京で憲法9条を守る運動、さらには平和・民主主義・人権などの課題に取り組んでいる個人や団体が一堂に会して、自ら主人公となって発信し、より多くの人々とつながり合うための「まつり」です。

 大田区産業プラザを1日全館貸切り、東京中の九条の会からたくさんの自主企画を持ち寄る多種多彩な催しが繰り広げられる、楽しく賑やかな「まつり」になります。

 私たち映画人九条の会は、ドキュメンタリー映画「しかしそれだけではない。加藤周一 幽霊と語る」「ハーツ・アンド・マインズ/ベトナム戦争の真実」の上映に協力するほか、ブースも1店出店するつもりです。

 主催は「東京9条まつり実行委員会」。東京の会員の皆さん、ご参加とご協力をお願いいたします。

9月9日、全国一斉「9条を世界に!」行動を ──「戦争をしないための選択・9条を考える道南の会」からの呼びかけ──

 「戦争をしないための選択・9条を考える道南の会」の呼びかけで、今年も9月9日(水)午前9時9分、または午後9時9分に全国一斉「9条を世界に!」行動が行われます。

 この行動は9条に掛けて、9月9日9時9分に全国津々裏々で一斉に9条に関するイベントやパフォーマンス、訴えなどを行おうというものです。今年で4回目で、「今年は世界にも呼びかけよう!」としています。皆さん、それぞれ創意工夫して行動を起こしてみませんか。

京都・映画人九条の会が活発に活動!

 結成3周年を迎えた「京都・映画人9条の会」が活発に活動しています。5月26日「沖縄・第1部」(監督/武田敦)の上映会、6月7日「沖縄・第2部」の上映会、7月25日「沖縄・第1部」再上映会を行い、8月8日には「親子で考える反戦/サイボーグ009鑑賞会」(京都・教育文化センター/13:30開始)、9月11日には「沖縄・第2部」の再上映会(京都・右京ふれあい会館/18:30開始)を行います。

 秋には東映撮影所見学会も予定されています。また、会報も発行されました。映画人九条の会会員の皆さんで京都在住の方は、「京都・映画人9条の会」の活動にも参加されたらいかがでしょうか。

 事務局は電話090-6322-0274(村主哲夫)、E-Mail;eigazin9kyouto@hotmail.co.jp です。

【情報コーナー】

「吉永小百合・平和への絆コンサート」、8月16日午後8時、NHK衛星第2で放送
 ライフワークのように長年「原爆詩の朗読」に取り組んできた女優・吉永小百合さんの「吉永小百合・平和への絆コンサート」が8月16日(月)午後8時から、NHK衛星第2で放送されます。共演者は坂本龍一さん、平原綾香さん、元ちとせさん、大島ミチルさん(音楽監督)、村治佳織さん(ギタリスト)など豪華。
吉永小百合さんは映画人九条の会の会員でもあります。核兵器廃絶を訴え続けてきた吉永小百合さんの発案となるこのコンサートに耳を傾けてみませんか。
「しかしそれだけではない。加藤周一 幽霊と語る」DVD、発売開始!
 日本を代表する知識人として発言を続けてきた加藤周一さんが最後に残したメッセージを、彼自身の歩みとともに構成したドキュメンタリー映画「しかしそれだけではない。加藤周一 幽霊と語る」のDVDが発売開始されました。アニメーション映画監督の高畑勲さんも「野心的な作品。私は一冊の書物を熟読するかのように、これを『熟視聴』しないわけにはいかなかった」と寄稿しています。必見の映画です。
(2010年2月劇場公開作品/本編99分/監督・鎌倉英也/定価4,935円/発売元・ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社/TEL 0120-852-150)
マスコミ九条の会が7月31日、シンポジウムを開催
 マスコミ九条の会は7月31日(土)13時30分より、東京・岩波セミナールーム(岩波ブックセンター3階)で、「深まるメディア不信をどう克服するか──ジャーナリズムの現場を根底から見直す」と題したシンポジウムを行います。政権交代を望んだ民意を裏切る政治と、メディアの責任を問うものです。
 パネリストは高田昌幸さん(北海道新聞記者)、中村卓司さん(神奈川新聞編集局次長)、永田浩三さん(NHK「クローズアップ現代」「NHKスペシャル」 などの元プロデューサー)、コーディネーターは桂敬一さん(マスコミ九条の会呼びかけ人)。参加費1000円。
「蟻と兵隊」が文庫本に
池谷薫監督のドキュメンタリー映画「蟻の兵隊」が文庫本になりました。新潮社から本日発売です。

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