映画人九条の会Mail No.9

2005.10.12発行
映画人九条の会事務局

目次

9・11総選挙で小泉与党が3分の2!

 9・11総選挙では、小泉与党が3分の2の議席を占めました。「郵政民営化に賛成か、反対か」だけに絞って嘘で固めたヒステリックな演説を繰り返し、「刺客」を放つなどの「小泉劇場」を展開した結果でした。「初の国民投票的な選挙だ」などと煽ったマスコミの責任も大きいものがあります(総選挙結果について投稿がありました。後半に掲載しています)。

 小泉与党が3分の2の議席を占めたことによって、早速「憲法調査特別委員会」が設置され、国民投票法案の国会提案に向けて動き出すなど、改憲の動きは加速しています。新しい民主党の代表になった前原誠司氏も、タカ派の改憲論者だと言われています。

 また、郵政民営化法案も可決されそうです。選挙公約にもないサラリーマン増税も出てきたし、治安維持法にも等しい悪法「共謀罪法案」まで上程されようとしています。

 映画人九条の会は今年11月末で結成一周年を迎えますが、いよいよ正念場です。私たちの運動をもう一回りも二回りも大きなものに発展させなければなりません。頑張りましょう。

憲法世論調査、9条改正「反対」は62%!(毎日)

──20代の70%が9条改正に反対!──

 毎日新聞は10月5日、憲法問題について行った全国世論調査の結果を発表しました。それによると、憲法改正に「賛成」と回答した人は58%で、「反対」の34%を上回りましたが、戦争放棄や戦力の不保持を定めた9条については「変えるべきでない」が62%で、「変えるべきだ」の30%の2倍に達しました。

 男女別では、男性は改憲派62%、護憲派33%であるのに対し、女性は改憲派54%、護憲派36%。世代別では30、40代で改憲派が各65%と最も多く、20〜60代の各年代で5割を超えています。70代以上では賛成44%、反対40%と拮抗しています。

 同時に、9条改正について聞いたところ「変えるべきでない」との答えが男性で57%、女性は67%に達しました。「変えるべきだ」は、男性が38%、女性は23%にとどまっています。世代別では、20代の70%が9条改正に反対したのをはじめ、30、50、70代以上の各世代で6割を超えました。改正賛成派は40代の36%が最高。

 また、9条改正賛成派にどの部分を変えるべきかを聞いたところ、戦力不保持と交戦権否認を規定した2項だけを「変えるべきだ」と答えた人が50%と最多。戦争放棄を定めた1項と2項の「両方とも」が35%と続き、1項だけを「変えるべきだ」は13%にとどまりました。

 (毎日新聞 2005年10月5日 3時00分)

12・13映画人九条会一周年集会の発言予定者、次々に決まる!

 映画人九条の会は結成一周年イベントとして、来る12月13日(火)に「12・13映画人九条の会一周年集会/映画人、九条への想いを語る!」を行うことを決めましたが、この集会に出演し、発言する予定者が次々に決まってきています。

 現在までに決まっている発言予定者を、50音順に紹介します。

池田香代子さん
作家・字幕翻訳者。「世界がもし100人の村だったら」がベストセラーに。
大澤 豊さん
映画監督。「GAMA 月桃の花」「アイ・ラブ・ユー」「アイ・ラヴ・ピース」など。
海南友子さん(スケジュール調整中)
ドキュメンタリー作家。「マルディエム彼女の人生に起きたこと」「にがい涙の大地から」
川本喜八郎さん
日本を代表する人形アニメーション作家。
神山征二郎さん
映画監督。「遠き落日」「月光の夏」「ひめゆりの塔」「郡上一揆」「草の乱」など。
ジャン・ユンカーマンさん
記録映画作家。ドキュメンタリー映画「チョムスキー9・11」「映画 日本国憲法」など。
高畑 勲さん
アニメーション映画監督。「火垂るの墓」「おもひでぽろぽろ」「平成狸合戦ぽんぽこ」「ホーホケキョとなりの山田くん」など。

 ──この他にも、2〜3名の方々に交渉中です。「12・13映画人九条の会一周年集会/映画人、九条への想いを語る!」にぜひご参加ください。

12・13映画人九条の会一周年集会/映画人、九条への想いを語る!
日時
12月13日(火)18:45〜21:00
場所
東京・文京シビック小ホール
参加費
1000円

【映画紹介】「ランド・オブ・プレンティ」(米)──9・11以後のアメリカ社会の深層に迫る

羽渕三良(映画人九条の会会員・映画評論家)

 9・11以後、ブッシュ大統領は、“自由”と“民主主義”を「誇り高く」叫んでいる。だが、アメリカ社会の深層は、どうなっているのか。この映画は、そこに迫る。

 ロサンジェルスのダウンタウン。飢えて苦しむ多数のホームレスの住む街。一台の車の運転席に乗る中年の男ポール(ジョン・ディール)。車の天井からは、監視カメラが街並みと、そこで生活している人々を監視。彼は自由の地アメリカを守ろうと警備をつづけている。ポールはベトナム戦争に従軍。今も後遺症に苦しむ男性。

 ダンボールをかかえた怪しげなアラブ人を発見。ある、陽が落ちた夕方、突然、そのアラブ人に大型車が近づき、火炎瓶を投下。アラブ人を殺して逃亡する。その殺害現場で、アメリカ生れ、イスラエル育ちの、ポールの姪・少女ラナ(ミシェル・ウィリアムズ)と再会。ラナは伯父ポールに、亡くなった母の手紙をもって帰国したのだ。

 ポールとラナは、トロナへ事件の犯人と真相を見つけるため、車で追走する。トロナは、殺害されたアラブ人の故郷。ラスベガスの近くにある。犯人のアジトだと、ポールが判断した建物に、ポールが完全武装して潜入してみると――。部屋の中には、寝ている老婆がいるだけ。老婆はポールを見て、「ヘンな格好ね」と一言。愕然とするポール。そこへ、「犯人はドラッグの常習犯の若者、怪しい事件ではなかった」と情報が入る。

 ポールとラナとの、第二次世界大戦後のアメリカと、9・11をめぐってのやりとりの言葉が刺激的。「アメリカは共産主義を阻止した」「アジア人の奴らをやっつけた」(ポール)。イスラエルのテレビで、9・11を見ていたラナは、「イスラエルでは9・11を歓迎していた」と語る。「歓迎?」と、怪訝な様子のポール。ポールにとって、初めて聞く世界の一つの反応。

 この作品は、9・11以後の操作されたアメリカの右翼的な報道で、9・11事件を利用したアメリカ政府の国民への洗脳ぶりなど、居丈高のブッシュとは、裏腹の、今日のアメリカ社会の陰の部分を、「ランド・オブ・プレンティ」(豊な土地・アメリカ)という題名で、重く深く訴えかけている。

 10月22日(土)から、シネカノン有楽町ほかで順次ロードショー公開される。監督・脚本はヴィム・ヴェンダース。ぜひご鑑賞を。

【投稿】小泉純一郎に“ヒトラー”的な臭気を感ずる。

 今回の選挙の結果は、小泉個人の勝利であり、自民党の歴史的大勝利ではない(換言すれば、自民党の小泉ではなく、小泉の自民党である!)と私は考えている。

 いろいろ思慮を巡らすと、憂うべき傾向が看取される。ある小説家は彼を信長と比較しているが、むしろ私は“ヒトラー”的な臭気を感ずる。参議院で「郵政民営法案」を否決されるや、「もう一度民意に問うてみたい」と称して、野党のみならず与党の反対も押し切って総選挙の博奕に打って出たが、その前後の状況がヒトラーに酷似している。

 第一次大戦後、敗戦後のドイツが連合国に叩きのめされ、意気消沈したドイツ国民の意を迎えるべく、果敢な行動で連合国側の虚を衝き、ドイツ国民の士気を高める所が暴走の極、ドイツを破滅の渕に導き、世界中に戦乱を巻き起こし、大惨害を招来したこと、その事を私はいみじくも思い出すのである。

 偶々猛暑の季節となり、“クールビズ”と称する「カッコ良さ」で若者・婦人層の心を掴み、そのファッション性において、融通のきかない真っ正直な与野党政治家の追随を許さない「小泉劇場」を独占的に演出した。一般国民にとって、郵政民営化が良かろうが悪しかろうが、そんな事は一挙に吹っ飛ばされ、“人気”の上でもはや戦わずして勝負は決まったようなものだった。そして政敵を斃すために「刺客」というおぞましいヤクザ的な言葉を氾濫させ、話題性のある女性を多く起用した。テレビに放映される彼の姿、胸を張って、正に幕僚的な!部下を引見して足早に颯爽と歩く姿は、浮薄な人心を完全に掌握した。

 選挙はもう「中味」の勝負ではなく、「カッコ良さ」「ファッション性」が民心を支配した。支配層・メディアはこぞって国民を愚民化するのに貢献した。正に「潁川に耳を洗いたい」心境である。

 今後の我々にとって、最も痛切且つゆるがせにできない次の大問題は、「憲法」である。これこそ正念場として私達は全力で戦わねばならぬ。

 小泉は総裁を任期一杯で退くと言う。その時“民意に押されて”と称して再延長するか、或いは退くとしても小泉流の教訓を徹底的に勉強した与党が、小泉方式を踏襲するだろうと予見される。その時こそ、日本の将来を決定する秋と覚悟を固めている。

2005年9月14日
岩間宏文 (映画人九条の会会員/日映演東宝同窓会会員/元・日映演東宝営業部分会委員長)

九条の会が、10月25日に分野別「会」の交流・懇談会を

 九条の会は、10月25日(火)に「分野別の『会』の交流・懇談会」を開きます。

 これは、7月30日の有明講演会の当日、「九条の会」アピールに賛同する運動をさらに全国の地域、学区、学校、職場に広げるとともに、つくられた草の根の「会」の間の交流を強め、来年には全国交流会を開くことをよびかけましたが、その具体化の第一弾です。

 案内書では、「これを実行にうつす意義も大きくなっていると存じます」「九条の会事務局としては、このよびかけを地方で実践にうつすだけでなく、全国段階のさまざまな分野別の『会』(名称はさまざまですが)の間で交流を深め、相互の運動の発展に役立てることも意義あることではないかと考えています。そのため、誠に傍越ではありますが、九条の会として分野別の皆様との定期的な交流・懇談の場を提起させていただくことにしました。この交流・懇談会は、ご賛問いただけるなら、今後も継続させたいと考えます」としています。

 映画人九条の会としても、大歓迎です。10月25日には、複数名で参加したいと思っています。

【情報】

「音楽・九条の会」結成!
 さまざまな分野の「九条の会」の結成が続いていますが、9月27日、待ちかねていた「音楽・九条の会」の結成の記者会見が行われました。賛同者1万人をめざし、来年1月26日には「音楽・九条の会コンサート」を開催する予定です。「音楽・九条の会」の活動に期待しましょう。
親会社の一方的なM&Aと闘った日活闘争、勝利!
親会社ナムコによる一方的なM&Aと闘ってきた日活闘争は、9月30日に和解協定書が締結され、勝利しました。日活は今後、インデックスという新しいスポンサーの下で経営再建をめざします。
次回の映画人九条の会運営委員会は、10月19日(水)10:30〜映画人九条の会事務局にて。

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