映画人九条の会Mail No.6

2005.06.03発行
映画人九条の会事務局

目次

会員数、1000名を超える!

 映画人九条の会の会員が、5月下旬で1000名を超え、現在1028名に達しました。結成から半年で会員数は2倍になったわけです。映画人・映画愛好者に「憲法9条を守ろう」の声が広がっていることを実感します。

 最近では、ドキュメンタリー「にがい涙の大地から」の海南友子監督、女優の野際陽子さんなどが加入されました。これからもひと回りもふた回りも会員を広げて行きたいと思います。皆さんもぜひご協力ください。

映画と講演の集い第2弾! 7月27日「にがい涙の大地から」上映会!

海南友子監督も参加!

にがい涙の大地から

 映画人九条の会は、「映画と講演の集い・第2弾」として、海南友子監督のドキュメンタリー映画「にがい涙の大地から」の上映会を行います。

 日本軍は敗戦時、所有していた毒ガスを隠すために、中国各地に組織的に投棄して逃げました。いまも中国には、毒ガス弾だけで70万〜200万発が眠っていると言われています。戦後に、それらの兵器で死傷した中国人は、およそ2000人。2000年代に入ってからも、毒ガスや砲弾が工事現場などから見つかって死傷者が出ています。

 映画「にがい涙の大地から」は、海南友子監督がハルビンで父親を砲弾事故で殺された27歳のリュウ・ミンと出会ったことから、1年がかりで砲弾事故の実態を取材したドキュメンタリーです。

 この上映会には海南友子監督も参加され、講演されます。多くの皆さんのご参加をお待ちします。

「にがい涙の大地から」上映会
日時
7月27日(水) 18:45〜21:00
【プログラム・予定】
18:45〜開会
18:55〜映画「にがい涙の大地から」上映
20:20〜海南友子監督講演
場所
飯田橋・東京しごとセンター(旧・シニアワーク東京)地下講堂
TEL 03-5211-2307〜8
JR中央線飯田橋駅・地下鉄(東西線・有楽町線・南北線・大江戸線)飯田橋駅徒歩7分
参加費
1000円

「九条の会7・30有明大講演会」に参加しよう!

──映画人九条の会も協賛団体に!──

 九条の会は結成2年目に当たり、これまでの運動の成果を踏まえつつ、新たな飛躍をめざして7月30日(土)に東京・有明コロシアムで1万人規模の大講演会を行います。この有明大講演会は、さらに大きく世論に訴えていく出発点となります。私たち映画人九条の会も積極的に参加したいと思います。(なお、有明大講演会は申込制になるかも知れません。集会の詳細が決まりましたらすぐにご連絡します。)

 九条の会から分野別の九条の会に「有明大講演会の協賛団体になってほしい」との申し入れがあり、映画人九条の会も協賛団体になりました。

 また、協賛団体や憲法諸団体、労働諸団体などで「九条の会・有明講演会を成功させる会」が作られ、5月23日の第1回の会合がもたれました。

 九条の会は、これまでこうした集会に参加したことのない方々にも参加を呼びかけるため、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞などに大きな意見広告を出す予定です。九条の会は、その資金調達のためにカンパを募っています。「九条の会・有明講演会」意見広告カンパの振込先は、以下の通りです。

「九条の会・有明講演会」意見広告カンパの振込先
郵便振替口座番号: 00130―1―760316
口座名: 九条の会意見広告

「憲法行脚の会」が加藤紘一氏(自民党衆院議員)×小森陽一氏・佐高信氏で6月15日に集会!

 九条の会事務局長の小森陽一さんから、「憲法行脚の会主催で、自民党元幹事長の加藤紘一さんと佐高信さんと私とで“憲法を潰すものは誰だ!”という集会を東大駒場キャンパスでやる」という連絡がありました。保守政治家への働きかけの試みの一つだそうです。面白そうです。皆さん、行ってみませんか。参加費は無料です。

 「憲法行脚の会」は、落合恵子さん、姜尚中さん、佐高信さん、辛淑玉さん、城山三郎さん、土井たか子さん、三木睦子さんらが呼びかけて昨年6月に結成された憲法キャンペーンです。

憲法行脚の会/憲法激論第3弾 加藤紘一×小森陽一・佐高信 憲法を潰すものは誰だ!
──北東アジアと安全保障──
日時
6月15日(水)18:30〜(開場18:00)
場所
東大駒場キャンパス13号館2階1322教室(井の頭線駒場東大前下車)
参加費
無料

ドキュメンタリーの力強い挑戦

山田和夫(映画人九条の会呼びかけ人・映画評論家)

●「Marines Go Home」

 沖縄名護島の辺野古。その美しい海にボーリングを打ち込み、新しい米軍基地を建設しようとする防衛庁施設局。その建設準備を阻んでたたかう住民たちのたたかいは400日を越えた。その新聞記事を読んで、私はつい最近見た藤本幸久監督のドキュメンタリー「Marines Go Home 辺野古・梅香里・矢臼別」(北海道AALA連帯委員会)のイメージがダブった。

 まさにその辺野古の海で、ボーリング用の鉄枠にしがみつき、調査開始を許さぬ住民たちの不屈の顔がそこにあった。そして映画は韓国の海岸・梅香里(メヒャンニ)で米軍射爆場の閉鎖と損害賠償をかちとった漁民たち、北海道矢臼別の原野にある自衛隊演習地に40年も居座って放牧を続ける農民がいる。その矢臼別には毎年沖縄から米海兵隊が実弾演習にやってくる。題名の「海兵隊帰れ!」の叫びは、日本列島の北から南まで、そして隣の韓国でも響きわたる。

 日本映画人のひるむことなき創造のたたかいは、いまとりわけドキュメンタリーの世界で大きく前進している。

●「にがい涙の大地から」と「リトルバーズ」

 NHKから独立した女性ドキュメンタリスト、海南友子監督は「にがい涙の大地から」を自主制作、いまも日本軍が遺棄した砲弾や毒ガスに苦しむ中国民衆の実像に迫った。登場人物たちは集団で日本政府を訴え、損害賠償を求めた。第一審は勝利したが、その4日後、政府は判決を不服として控訴した。長い療養生活や働き手を失った生活苦は、もう耐えられないところまできていたのに、日本政府の仕打ちには、当事者とともに怒りを共有せざるを得ない。

 日本があの侵略戦争で何をしたか、何をしつづけているか、私たちがなぜ憲法9条を守ろうとするのか、この映画は私達に問いかけて止まない。7月27日、映画人九条の会の次回企画として、この映画の上映と海南監督の講演を決めたのも、偶然ではない。

 綿井健陽監督の「リトルバーズ〜イラク 戦火の家族たち」は、イラク戦争をイラク国民の目線で見つづける。カメラは常に彼らの側にあり、いわゆる「従軍報道」のテレビカメラのように、米軍の側にはない。ナレーションや音楽を排し、生の音声だけを活用した客観的冷静さの中に、幼い子どもたちを無惨に殺されたイラク人の悲しみと怒りがにじみ出る。そして日本の陸上自衛隊がイラクで何をしているのか?を、さめた眼で見すえる。こうしたイラク戦争を支援する日本に生きる私たちは、いま何をすべきだろうか?

●憲法9条を守るたたかいとともに

 日本在住の米人映像作家ジャン・ユンカーマンは、9.11の同時多発テロ直後、ノーム・チョムスキー教授の発言を追うドキュメンタリーをつくり、映画人九条の会結成と同時に会員となった。そしてユニークなドキュメンタリー「映画日本国憲法」で憲法を守るたたかいに新しい創造で加わった。ジョン・ダワーやチャルマーズ・ジョンソン、ノーム・チョムスキーやベアテ・シロタ・ゴードンら、米知識人や、韓国、中国の学者、文化人を登場させ、日本国憲法、とくに第9条のもつ世界的意義をそれぞれの自分の言葉で語りかける。とくにジョンソンの「第9条は日本のアジア諸国への謝罪だった」の発言が胸に痛い。日本の支配層は平然とその「謝罪」を放棄しようとしている。

 憲法9条を守る運動は、2004年6月、日本の代表的な知性9人の「憲法九条の会」発足が起爆剤となった。9人の人たちは全国各地で講演会を開き、例外なく空前の大成功を収め、全国各地域と各分野における「九条の会」結成を大きく促進した。その講演をカメラで追い、講演にまだ参加していない梅原猛氏のインタビューを加え、森康行監督の「9 nine――憲法9条は訴える!」が完成した。9人の方の発言が持つ力は言うまでもないが、映画のはじめと終わりに出るコメディアン、松元ヒロによるパフォーマンスが痛烈でたのしい。

 日本電波ニュース社が造船や重機の労働者とともに製作した「軍需工場は、今」(監督小林アツシ)は、軍事大国化に狂奔する“死の商人たち=巨大軍需資本”の実態と、その職場で不屈にたたかう人びとの素顔を伝え、「ヒバクシャ―世界の終わりに―」をつくった鎌仲ひとみ監督は、核廃棄物処理の危険を追求した「六ヶ所村ラプソディ」の撮影を続け、中間報告としてビデオレター2部を出している。

 また反核の願いを込めたものに、「我が子の魂〜人形達と生きた60年」(監督林雅行、製作クリエイティブ21)がある。長崎の原爆で4人の子どもを失った夫妻が、60年間なきこの面影を追って市松人形を探し求めた。あつめた80体の美しく愛すべき人形の表情が、何よりも感動的だった。

 もう一つ、私自身も証言者の1人となった「時代(とき)を撃て・多喜二」(監督池田博穂)も忘れられない。命がけで権力に立ち向かい、侵略戦争に反対して殺された小林多喜二の生涯は、決して過去の物語ではない。ここにもドキュメンタリーの力がある。

(2005年5月28日)

企業売却と闘う日活闘争にご支援を!

 日活は今、親会社ナムコによって問題企業のUSENに売却されようとしています。日活従業員の大多数が結集している映演労連日活労組は、「金で株式会社は買えても、金で従業員は買えない!」を合言葉に反対闘争を展開しています。売却先のUSENという会社が、不法営業を繰り返してきたという企業体質にも、財務状態にも問題がある会社であり、売却されれば日活の解体にも繋がりかねないからです。

 またこの闘いは、経営者の身勝手なマネーゲームに従業員サイドから反撃した、きわめて現代的な闘いです。

 6月14日(火)には、日活闘争支援共闘会議などの主催で「USENへの売却阻止!6・14日活争議支援集会」を行います。ぜひご参加ください。

USENへの売却阻止!6・14日活争議支援集会
日時
6月14日(火)18:45〜20:40
場所
全労連会館2F 大ホール(東京都文京区湯島2-4-4 電話03-5842-5610)

会員の皆様、メールアドレスを教えてください!

 映画人九条の会も会員が1000人を超え、会報やニュース、連絡事項などを皆様にお送りするだけでも大変な労力とお金がかかってきています。

 もし会員の皆様の中で、パソコンのメールアドレスをお持ちの方がおられましたら、ぜひ教えてください。なにとぞよろしくお願い申し上げます。


映画人九条の会事務局
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