安倍政権は、国民の反対運動によって三度も廃案になった「共謀罪」法案を、「テロ等組織犯罪準備罪」法案と名を変えて今国会に上程し、強行成立を狙っています。
「共謀罪」法案は、犯罪の実行行為がなくてもその相談、準備をしただけで処罰の対象にするものであり、刑法の原則を逸脱するばかりか、憲法が保障する思想・信条・内心の自由を侵す法案です。これが成立すれば、警察の日常的監視と密告社会を招くことになります。まさに現代版・治安維持法です。
安倍政権は世論の反対に押されて対象犯罪を絞り込もうとしていますが、いかに対象犯罪が絞り込まれようとも、内心の自由を侵す本質は変わりません。
また「共謀罪」法案は、テロ対策を口実にしているものの、テロ準備とは無関係に広く市民・団体の監視を推し進めるものです。警察等によって、対象となる「組織的犯罪集団」に一般の人々のグループや市民団体、労働組合などが恣意的に加えられる可能性は否定されていません。
ときに映画は、暴力やテロ行為、国家犯罪などを描くこともありますが、捜査当局がそれを「暴力やテロ行為などを正当化するものであり、それを唆(そそのか)すものである」と恣意的に判断すれば、その企画活動や製作準備活動が捜査・監視の対象にされ、場合によっては処罰されかねません。特に様々な対象に接触し取材するドキュメンタリー映画においては、その危険性は高まります。「共謀罪」法案が成立すれば、映画作りと公開でも企画の制限、テーマの規制、表現の萎縮などが進むことが強く懸念されます。
私たち映画人九条の会は、憲法の精神に背き、表現の自由を奪いかねない「共謀罪」法案の国会提出とその強行に断固反対するとともに、映画人、映画関係者、映画愛好家に反対の声を上げるよう心から呼びかけるものです。
2017年3月6日
映画人九条の会
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